2023/11/06 コラム

自動車解体屋の塀の中には何が? 不法ヤードを見分ける方法があった

取材協力:エコアール



■エコアールという事業者について

かつてクルマの解体屋と言えば戦前から、関東では墨田区の立川(たてかわ)や江戸川区の篠崎などに集中していた時代があった。筆者も20年ほど前に取材したことがあり、残っていた業者から「昔から修理屋や板金屋が部品を買いに来て、海外のバイヤーと取り引きをしていた」と聞いたことがある。だが時代の移ろいとともに1990年前後ころ、規制に対応する土地を確保できないことから廃業、もしくは京葉道路や国道14号を東に進んだ千葉県に移転したところが少なくない。

エコアールの創業者はこの地域と自動車解体を舞台にした60年前の小説、阿川弘之の「ぽんこつ」を読んで感化され、自動車解体業を始めた。以降、廃車となったクルマの再利用を推し進めて現在に至ったといえば簡単だが、全国で100件に満たない数しか解体屋を見ていない筆者からしても、それまであった解体屋が行っていた方針とは違う事業展開している数少ない例だと思う。

その一例が多角化で、見たこと知ったことのすべてを書くことはできないが、廃車の解体作業を中心に置きながらも、クルマを解体せずにそのままリサイクルする中古車販売に始まり、解体作業中に発生した使える部品を中古部品として販売、はたまた現在車に乗っているユーザーのための修理や板金、整備や車検まで、自動車の生産以外のあらゆる分野に広がっている。

地域ごとの事情があるので、こうした多角化をすべての解体屋が行うべきとは言えない。例えば北海道の解体屋はまだ使えるクルマを買い取ったときに、傘下の修理工場の整備を経て、ガソリン入れる以外の料金が発生しない、所有するより安上がりになるかもしれない軽自動車や小型車を長期リース車両として貸し出しているのを見た。しかし鉄スクラップの生産を中心に、まだ使える部品を中古部品として販売する以外の事業展開は、まだまだ全国でも数少ない。

そして中心となる解体作業においても、郊外の工業団地にて余裕ある敷地で法対応し、極力省力化を図りながら作業環境を改善していく光景を14年ほど見続けてきた。だから行くたびに作業場の風景が変わるのも、楽しみのひとつだ。

全国でよく見る解体屋の風景とは、少し違うのがエコアール。中古部品を求めてもいいし、自動車修理やタイヤなど部品販売を行う「エコアールDS館」に行くだけでも、物によっては解体屋さん直営の格安部品があったりする。一度は訪ねてみる価値はあると思う。


●エコアールの現場責任者は「自動車リサイクル法で作業工程はオンライン化されてますから、リサイクル券の番号とか車体情報を入力すれば、このような画面で自分の廃車の解体作業の進捗を確認することができます」と教えてくれた


エコアール
〒326-0324 栃木県足利市久保田町838-1
TEL:0284-70-0780
FAX:0284-72-1711
Email:info@eco-r.jp
9:00~18:00
定休日:第二・四・五の土曜日と日曜と祝日
https://www.eco-r.jp/


●本社に隣接するDS館には、主に中古のタイヤやホイールなどが多数展示販売されている。タイヤ交換だけでなく修理や外装部品の交換も行えるし、指定工場なので車検までできるショップだ

エコアールDS館
〒326-0324 栃木県足利市久保田町880-1
TEL:0120-27-3440
FAX:0284-70-0199
営業時間:9:00~19:00(作業受付18:30まで)
定休日:月曜日
https://ds-eco-r.jp/

〈文と写真=加藤英一〉

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING