2023/11/06 コラム

自動車解体屋の塀の中には何が? 不法ヤードを見分ける方法があった

取材協力:エコアール



■適法事業者を見分ける方法

話を正規に営んでいる解体屋の例で進める。

一度得た都道府県知事の許可も5年以内が有効期間とされ、更新する場合は新規同様、法に則った環境と作業をしているかの確認を受ける。土壌汚染にならないよう床部の舗装状態はもとより排水にも法が適用され、雨や作業場清掃で出た水を「油水分離槽」に集め、水と油を分ける設備の設置や維持をしなければならない。

水勾配のために工事が必要になることもあるし、点検掃除や油吸着マットの交換も必要となり、冷却水や油を含んだ液体は産業廃棄物として引き取ってもらわなければならない。さらに外からは見えないように囲まれている塀も、危険な作業もあるので外部から容易に侵入されないようするとともに、作業時に外れた部品や破片が敷地外に出ないよう金属製となっている。いわゆる「ヤード条例」とは違う次元で設置しなければならない。決して怪しいことをするための塀ではないのだ。

許可を得た解体屋か、法律無視の作業場かを見分ける方法は、入り口近くに「引取業者の登録番号(廃車を運ぶ許可)」「フロン類回収業者の許可番号」「解体業者の許可番号(部品取り外し許可)」「破砕業者の許可番号(金属などを圧縮や粉砕する許可)」という4種の許可番号が記載された看板などの有無。

さらに最新の情報を得たいときは、ネットで「自動車リサイクル法関連事業者一覧(JGKS0010)」で事業者名を検索したり、都道府県の登録・許可業者の一覧を検索してもわかる。記載がない解体業者は、許可を得ていない違法作業するところだと思えばいい。

もし無登録や無許可で解体作業をした場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられるし、実際に刑事事件として処分された例もある。さらに自分が預けた廃車がどうなっているのかは、抹消登録証明証や自動車検査証返納証明書をもとに「自動車リサイクルシステム」のウェブサイトから検索すると作業進捗がわかる仕組みだ。まともな解体屋に任せると、元ユーザーはオンラインで最後まで確認できる。


●設置義務があるそれぞれの処理に応じた都道府県知事の許可番号の表示板。この番号なしで自動車解体していたらヤード条例ではなく自動車リサイクル法違反で通報モノ

ドライバーWeb編集部

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