2023/11/06 コラム

自動車解体屋の塀の中には何が? 不法ヤードを見分ける方法があった

取材協力:エコアール

昨年寄稿した、解体屋さん(自動車解体事業者)が生産する中古部品の品質と利用価値についての記事に、コメントがたくさんついた。「どうせ外から見えない鉄の塀の中には盗難車とかが入ってるのではないか」など、正式に許可を受けた解体屋までもが違法なことをコソコソと行っている場所だと思っている人が多いようだ。

そこで今回はその「塀の中」で何が行われているのか解説したいと思う。

近年、いわゆる「ヤード条例」なる県条例が千葉県、茨城県、埼玉県、愛知県、三重県で、さらに市町村条例が兵庫県三木市、茨城県板東市、茨城県八千代町で公布されている。高い鉄製壁の中で自動車解体を行っているのは違法業者と正規解体事業者とも同じだが、じつは決定的な違いがある。

ほぼ法律無視と呼べる行為でクルマの入手や移動をして引取業者登録違反を犯し、やはり違法に「土の上で解体なり改造して輸出や部品販売する」のが「ヤード条例」というか自動車リサイクル法にも違反している者たち。正規の解体屋は、厳密に法律に則った作業をしている。

筆者も以前、違法行為して解体や修理していると思われる現場に行って責任者らしき人と話をしたことがあったが、彼らは「金を出して買ったクルマだから犯罪じゃないし、それを自分のトラックで運ぶのも問題ない(これは引取業者登録違反)。買ったクルマを分解したり、輸出するのも犯罪じゃない(これも自動車リサイクル法違反)。この場所は金払って借りてるから問題ない」の一点張り。話にならない、そもそも日本の法律を守る考えがない人に何を言っても無駄だと感じた。

違いをわかってほしい。片や「都道府県知事の許可を得て引取から解体作業まで、合法的に適正処理している」正規の解体屋。違法な連中は、許可を得た解体屋が絶対に行わない「土の上で廃車の解体」を行い「金払ったからあとは自由に作業を行う」と言い放つ。この二つが同じであるはずがない。

といっても、2005年から自動車解体作業に法律が大いに関係していることを知らない人たちは、許可を受けた解体屋と、法律無視して一切の情報を隠した違法な無許可解体との違いをご存知ないのだろう。合法と違法、簡単な見分け方は後述するとして、正規に営んでいる解体屋の状況をお伝えしたいと思う。


●このような壁に囲われた風景は解体屋ではよく見る風景。設置面積や強度など、さまざまな条件や規制が伴う設備なので、確かに冷たい印象を受けるのも無理はない

ドライバーWeb編集部

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