2023/08/05 旧車

世界ナンバー1のスポーツカーを目指した日産フェアレディZ 300ZXの記憶[driver 1989年3-20号より]

●フェアレディZ 300ZX



■洗練度の高いインテリア

ボディカラーはイエロー、2コートパールメタ、レッド2コートパールメタなど計11色を用意、CD=0.31(リヤスポイラー付き)の躍動感あふれるフォルムを引き立てる。内装色はオフブラック、ホットレッド、ブラウン、ブルーの4色が外板色に応じて設定される。





インテリアは爽やかですっきりしたデザイン。室内全体に連続感がみなぎり、乗員を適度なコックピット感覚で包む形状だ。ことにインストルメントパネルからコンソールへと続く面は、組み立て作業を難しくするにもかかわらず、可能なかぎりパーツを大型化、クリーンな造形を生み出している。なお、New 300ZXは、製造に関しても開発部門と製造部門の連携強化、熟練作業者の配置など4項目の商品質確保策を実施しており、こうした全部門をあげてのクルマ造りの成果が随所に見受けられる。



シートはメッシュ調のジャージーを採用、コンソール、ドアトリムともコーディネートを図っている。このあたりは従来のスパルタン一点張りのデザインから抜け出した近未来的感覚と言えるだろう。オプションで本革シートも用意されている。



なお、すべての性能の基本となるボディ構造は、Tバールーフという剛性の確保が難しい形状にもかかわらず、Z31に比べ、曲げ剛性で35%、ねじり剛性で20%アップを達成。しかも、車重は現行車並みの1460㎏(2シーター)にとどまっている。

■4輪マルチリンクサスで高次元の走りを追求

エンジンは60° V6・3Lツインカム24バルブのVG30DE。ボア×ストローク87.0㎜×83.0㎜は、Z31と同一だが、シリンダーヘッド、ブロック、クランクシャフトに至るまですべて新設計。この基本構造に加えてツインスロットル、ツインインテークコレクター、ツインエキゾーストチューブ&マフラー、ダイレクトイグニッションシステムNDIS、吸気バルブ可変タイミング機構NVCSなどを採用、プレミアムガソリン対応で222hp/6400rpm、27.4㎏m/4400rpm(SAEネット)を発揮。NAならではの十分な低中速トルクに支えられた好レスポンスと、余裕ある出力がもたらす豪快な走りは、New 300ZXならではのものだろう。


●フェアレディZ 300ZXに搭載のVG30DEは、まったくの新設計と言ってもいい強力ユニット。最高出力222馬力を発揮する



ミッションは、ダブルコーンシンクロの採用によりシフトストロークを約30㎜短くした5速MTと、フルレンジ電子制御4速のE-ATを設定。E-ATには、変速性能と燃費を向上させるエンジンAT総合制御システムを搭載。駆動系では、パワーロスを防止し、旋回性能を高めるビスカスLSDを標準装備する。

サスペンションは4輪マルチリンク方式。マルチリンクリヤサスの優秀性はすでに定評あるところだが、これをフロントにも採用、高次元の走りを追求している。アッパーリンクを高い位置に配置し、ツイステッドアッパーアームで支持、さらにアッパーアームとキングピン軸を独特の形状を持つサードリンクで結合。直進性と旋回性能を同時に高めるとともに、フラットライドな乗り心地を獲得している。


●日産お得意のマルチリンクサスペンションをフロントにも採用して、操縦安定性を向上させている

ステアリングはバリアブルパワーアシスト機構を備えた電子制御ダブルチョーク式車速感応パワステで、リニアな操舵感とインフォメーションを重視。ブレーキは軽量(フロント3.4㎏、リヤ1.8㎏)な4ピストンアルミキャリパーを採用した4輪ベンチレーテッドディスクで、アンチスキッドブレーキ4WASが標準装備される。

そのほかの装備では、エアコン、AM/FMカセット、パワーウインドー、ASCD、パワードアロック、盗難防止装置などが標準と発表されている。

〈まとめ=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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