2023/08/05 旧車

世界ナンバー1のスポーツカーを目指した日産フェアレディZ 300ZXの記憶[driver 1989年3-20号より]

●フェアレディZ 300ZX

自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。今回は1989年7月に発売された「フェアレディZ 300 ZX」、1989年3-20号に掲載した記事をプレイバック!

◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇

1990年代のスポーツカーを目指して、フェアレディZが北米でひと足早くフルモデルチェンジ。GT的なカラを脱いだNEW 300 ZXのスタイル、パワースペックに、もう今から興奮してしまう。

■興奮を演出するピュアスポーツ

ついにベールを脱いだNewフェアレディZ、300 ZXは、期待どおりのハイポテンシャルマシンだ。Z31までのフェアレディZはGT的色合いが強かったが、New 300 ZXは明確にピュアスポーツを指向、1990年代に求められるスポーツカーのあり方を具現化している。



New 300 ZXのボディは、2シーターと2 by 2の2種。エンジンは222馬力/27.4㎏mのVG30DE。駆動方式はもちろんFRだ。サスペンションは“4輪マルチリンクサス”が採用されている。

開発のメインテーマは「興奮の演出」。なぜなら、見る、触れる、乗る、走る——すべての場面において、乗り手を興奮させることこそ、スポーツカーのだいご味、存在理由だからだ。そして、New 300ZXが目指したものは“1990年代の世界No.1のスポーツカー”。伝統あるZのイメージ、遺産をかなぐり捨ててまでも、世界第一級のスポーツカーの仲間入りをしようという意欲作だ。



その意気込みは、ダイナミックかつタイトなスタイリングからも、ひしひしと伝わってくるだろう。ボディ寸法は、全長4305㎜×全幅1790㎜×全高1255㎜(2シーター)と、ワイド&ローそのもの。全幅1700㎜の小型車枠にもまったくこだわっていない。

ディメンションもガラリと変わった。2シーターの場合で言うと、全長が100㎜短縮されたうえにホイールベースを拡大(2320㎜→2450㎜)し、前後のオーバーハングを切り詰め、全高をダウン(1295㎜→1255㎜)、キャビンも前方に移動した。トレッドは前40㎜、後60㎜拡大し、1495㎜/1535㎜のワイドスパンを達成。以上の根本的な改革により、走りのポテンシャルが大幅に引き上げられたことは言うまでもないだろう。



このディメンション変更は、New 300ZXに、美しくしなやかで、なおかつ敏しょうな獣をイメージさせる躍動的なフォルムを与えた。60度スラントの異形レンズ&プロジェクター式ヘッドライトを持つフロントまわりは低く、滑らかなラインを描いてアーチ型のルーフサイドラインを持つキャビンに連なる。

サイドビューは、ダイナミックなウエッジシェイプ。大きくえぐられたホイールアーチ内には、225/50R16・91Vタイヤ+5本スポークアルミホイールが納まり、穴開きベンチレーテッドディスクを見せる演出も施されている。リヤは、高めに持ち上げられたバンパー下にはデュアルエキゾーストパイプが両側に突き出し、ボディ下にはデフケース、リヤサス、マフラーなどをのぞかせるデザインだ。

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING