2023/10/24 コラム

介護疲れで居眠り運転、集団下校の小学生に突っ込み…そんな事故を防ぐために「今すぐやれること」

子供を事故から守るために。声を大にして



■「ルールを守れ」で事故はなくならない

ブログにそう書いてから14年が過ぎた。この間、どれほどの小学生が死傷させられたろう。認知症の高齢者が軽自動車で、通学の小学生たちに突っ込む事件もあった。飲酒運転の大型貨物が突っ込む事件もあった。

20代の男性が制限速度(40キロ)の2倍近い速度で乗用車を運転中、「考え事をして」路外へ逸脱しそうになり、ブレーキを踏まないまま右へ左へ急ハンドル、ついに路外の保育園へ突っ込んだという事件を傍聴したこともある。園児の1人は車両の下敷きになって熱いオイルを浴び、顔面はケロイド、両目を失明したという!

その判決は禁錮2年6月(未決勾留日数中60日を刑に算入)だった。軽すぎる? いや、私は言いたい。こんなバカ野郎をたとえ死刑にしたって被害園児はもとに戻らない。失われた命は戻らない。どうすればいいのか。

ついうっかりや不注意な者は、やっぱりどうしてもいる。そこを前提に、クルマが進路を外れても、通学の小学生や保育園などに突っ込まないよう、ガードレールを設けるなりする、それしかないと私は思う。

しかし世間は「ルールを守れ! 違反者を取り締まれ! 事故を起こした者を厳しく処罰しろ!」としか考えないようだ。裁判官は「怒りの矛先を遺族は加害者へ向けるしかない」と閉廷する。

こういうことをメディアはなぜ言わないのか。言えば、怒りのクレームがどどっとくることが容易に予想されるから、かもしれない。

「加害者を甘やかすんじゃない!」
「被害を受けたほうが間抜けだと言うのか!」
「すべての通学路にガードレールを設けるなど現実的じゃない!」
「ガードレールを乗り越えて突っ込む事故だってあるぞ!」

進路を外れない自動運転車が行き渡るまで、失われなくていい命や健康が、これからも失われ続けるのかと思うと、残念で悔しくてたまらない。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から交通違反以外の裁判傍聴にも熱中。交通違反マニア、開示請求マニア、裁判傍聴マニアを自称。

ドライバーWeb編集部

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