2019/10/30 コラム

ミッドシップ+4WD+ハイキャス! 市販化直前と言われたコンセプトカー「日産MID4」は走るとどうだったのか?

●日産MID4



MID4のエンジンには日産の最新技術を全て盛り込んであるといい、スカイライン(*)用のRB20DE型に採用され直動式のハイドロリックバルブリフターや、電子配電点火システム(NDIS)、電子制御式吸排気コントロールシステム(NICS)などが備えられている。NICSに関しては各バンクごとにスロットルボディを持つツインスロットルタイプとし、各々に直結したサージタンク間のバルブを開閉することで可変吸気を行う。低回転域のトルク特性と高回転域の出力特性を向上させるメカニズムだ。かつてのツインキャブのようなイメージを狙ったとのことだ。さらに吸気側のカムシャフトとカムプーリーのずれ角を制御してバルブタイミングを7度可変する新機軸も投入。バリアブル・タイミング・カム(VTC)と日産が呼ぶ、NICSと似た効果が期待できるシステムである。

*当時販売されたいた7代目R31スカイラインのこと

ストレートをフル加速。2速、4000回転から強烈な立ち上がり。エンジンはアクセルワークに対し、リアルタイムに反応する。ドライバーとメカニズムの呼吸が完璧に一致するさまは、自然吸気式のツインカムエンジンならではの魅力だ。パワーの盛り上がりは一気呵成。瞬く間に頂点を極める感覚が得られる。2速を使い切って、3速にシフトアップ。市販時には変更される可能性があるというが、現段階では各ギヤがクロスした感じは薄い。ところが、加速感は一向に衰えを見せないのだ。マキシマムは7000回転。230馬力を6000回転で発揮するが、6800回転あたりまではパワーの頭打ちがない。しかも、その先で極端に落ち込むわけではないため、マキシマムまで気持ちよく引っ張れる。

市販時にはファイナルレシオもローギヤード化される予定だという。トルクが全域にわたってフラットなので、さらに鋭い加速感が楽しめるようになるはず。メーカーのテストでは240㎞/hオーバーをマークしたそうだ。背中の直後から腹に響く「グォーン」というエキゾーストノートが聞こえてくる。刺激的ではあっても、中身が無さそうな軽薄サウンドとはワケが違う。左右のバンクからのエキゾーストマニホールドをステンレス製のエキゾーストパイプでひとつにまとめ、力のこもったV6ミュージックが奏でられているのだ。


●ミッドシップマシンらしく、ドアの直後にはエンジンルームへ効果的に空気を取り入れるエアスクープが。

●精悍なイメージを与えるテールランプ上のスリット。エンジンルームのエア抜きに貢献するとともに、デザイン的なアクセントにもなっている。

●リヤアンダースポイラーから覗くマフラーはデュアルタイプ。気持ちのいいV6サウンドを存分に奏でてくれる。

ドライバーWeb編集部

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