2023/11/28 コラム

【速度取り締まり】都道府県別ランキング 3位は大阪、2位は埼玉、1位は?

データからいろいろ見えてくる!

速度違反の取り締まりが最も多いのは、47都道府県のうち、どこだろう。警察庁へ行き、「都道府県(方面)別・違反行為別取締り状況(車両等の違反)」という詳細な一覧表を撮影してきた。コピー不可になり、スマホのカメラで撮影したのだ。ご報告しよう。

2022年、青切符の違反と赤切符の違反の総計は505万3271件。うち速度違反は93万2260件。そのトップ10は次のとおりだ。なお、北海道の件数は、5つの方面本部(札幌、函館、旭川、釧路、北見)の合計とする。

1位 神奈川 8万5894件
2位 埼玉  8万4243件
3位 大阪  7万3228件
4位 東京  6万1569件
5位 福岡  5万3396件
6位 兵庫  5万1166件
7位 愛知  4万2906件
8位 北海道 4万1363件
9位 千葉  3万5126件
10位 京都  2万2915件

見通し良好な直線道路が多そうな北海道より、埼玉、神奈川のほうが2倍以上も多いんだね。下位はこうだ。

43位 秋田    3916件
44位 徳島    3331件
45位 滋賀    2735件 
46位 宮﨑    2058件
47位 沖縄    1106件

上位と下位、ずいぶん開きがある。

一覧表には、各都道府県における各違反の取り締まりの、構成率がのっている。速度違反取り締まりの構成率の、全国平均は18.4%。都道府県別のトップ5を見てみよう。カッコ内はその道県の速度違反の取り締まり件数だ。

1位 北海道 35.1%(4万1364件)
1位 石川  35.1%(1万9707件)
3位 福島  33.6%(2万2566件)
4位 岩手  32.1%(1万1121件)
5位 富山  31.7%(2万2077件)

北陸地方の石川と富山、東北地方の太平洋側の福島と岩手が多いとは意外な気がする。

北海道は、件数では8位だが、構成率はトップ。速度取り締まりにめっちゃ力を入れているのだろうか。しかも、北見方面本部だけだと、なんと51.3%(3826件)。取り締まりの5割以上が速度違反ということだ。

構成率の下位はこうだ。

45位 東京  9.2%(6万1569件)
46位 宮﨑  7.2%(2058件)
47位 沖縄  3.7%(1106件)

東京の速度取り締まりは、件数的には全国4位なのに、構成率は9.2%で全国45位。へえ、である。じゃあ、東京は何の取り締まり件数が多いのか。

通行禁止違反の構成率は、全国平均が13.8%。東京は20.62%(13万8180件)だ。信号無視は全国平均が10.3%で、東京は13.0%(8万6989件)。通行禁止違反と信号無視で22万5169件となり、速度違反の約3.7倍だ。

■北海道は激減、大阪は真逆の激増、なぜ?

この一覧表を、私は毎年ゲットしている。念のため2021年分を見てみた。以下、左側が2021年、右側が2022年だ。

総計   554万6115件 → 505万3271件
速度違反 106万4818件 →  93万2260件

両方とも1割前後、減っている。だが、北海道の速度違反を見て私はたまげたね。こうなのだ。

北海道  7万1596件 → 4万1363件

激減ではないか。なぜ? 北海道は三菱のレーダー式のオービスが全廃された。

【参考記事】北海道には1つだけ!? 固定式オービス、全国の整備数は半減も「大阪は撮影枚数激増」

そのため、2021年には2885枚だった固定式の「撮影枚数」(取り締まり件数と同じだという)が、2022年には152枚になった。でもそれだけじゃ約3万件もの激減の説明がつかない。いったい何が起こったのか。

北海道には、私が契約書等により把握している限りで29台、“レーザーパトカー”がある。屋根のパトランプの間に東京航空計器(TKK)のレーザー式の測定機を搭載したパトカーだ。ところが、レーザー式はどうも取り締まりに向かないらしい。2020年10月にたいへんな事件、いわゆる不祥事が起こった。

【参考記事】ベテラン警部補が速度データ偽造を繰り返して逮捕…レーザーパトカー「LSM-100」の実績を上げるため?

あの関係で、LSM-100がぜんぶ倉庫行きになったとか? いや、わからない。わからないといえば、大阪もだ。大阪の速度取り締まり件数はこうなのだ。

大阪   4万7835件 → 7万3228件

なんと、北海道とほぼ真逆の激増ぶりだ。これはねえ、設定速度(それ以上の超過速度を取り締まると警察のほうで決める速度)を下げたんじゃないかと私は想像するが、しかし本当のところはまだわからない。

新たに何かを知ると、わからないことが新たに増える。そこがマニアの醍醐味といえる。また何かわかったらご報告しますね。 

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から交通事件以外の裁判傍聴にも熱中。交通違反マニア、開示請求マニア、裁判傍聴マニアを自称。

ドライバーWeb編集部

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