2023/04/21 新車

「2024年問題」を解決する操作性!?  UDの新大型トラクタヘッド「クオンGW 6×4」に乗った



■安心感の高いブレーキ性能



次は高速域からのブレーキングと補助ブレーキである流体式リターダーの効果を確かめる。まずはブレーキだが、GW 6×4は総輪ディスクブレーキが標準装備だ。乗用車では一般的なディスクブレーキだが、国産トラックやトラクタでは少数派。現在でもドラムブレーキが主流で、採用される理由はメンテナンスコストが抑えられるからだ。ドラムは摩擦材のシューが長持ちするため交換距離が長く、ディスクブレーキのパッドは一般的には交換距離が短いため物流会社は敬遠する傾向があった。

この発表試乗会でUDトラックス代表取締役社長 丸山浩二氏のコメントでも、自身が地方の販売を担当していたときにUDがディスクブレーキを採用すると聞いたとき最初は反対したそうだ。現場を知っているからこその反応だった。だが安全性を重視するとやはりディスク。耐フェード性が高いためクオンのような大型トラックやトラクタには相性がいいわけだ。トータルコストでもドラムブレーキと比較しても遜色ないレベルにあり、2017年の導入後もユーザーからの不満は聞こえてこないという。


●UDトラックス代表取締役社長の丸山浩二氏

さらにUDはクオンGW 6×4に大容量の流体式リターダーを採用している。流体式リターダーとは、プロペラシャフトとともに回転するローターをオイルで満たし、オイルの攪拌抵抗を利用して制動トルクを発生させる仕組みである(温度が上がるので水冷式になっている)。何とブレーキトルクはエンジンの最大トルクを上まわる3250Nmと超強力。

テストコースで高速域からリターダーをテスト。フットブレーキを踏まずにステアリングポスト左側に設けられたリターダーレバーを4段階の一番強力なポジジョンにすると、まるでフットブレーキを踏んでいるかのように強力に減速(リターダー+エンジンブレーキ)して停止寸前まで減速。フットブレーキを使う必要ないほど強力な減速が得られる。例えばトレーラーにとって難所の峠道として知られる長野県と群馬県を通る国道18号碓氷バイパス区間の下り坂では、フットブレーキを使うのは計算上5回だけでいいらしい。リターダーを使わなかった場合だと41回フットブレーキを踏む必要があるが、ほとんどフットブレーキを使わずに降坂できるためディスクブレーキのパッドの摩耗が少なくて済むわけだ。それにフェードしにくいため安全性も高い。


●車庫入れを想定した微速後退

車庫入れ時の微速後退も12段電子制御式AT「ESCOT-Ⅶ」のよさが実感できる。トレーラーけん引時のバックはトラクタヘッドの動きがギクシャクしがちだが、GW 6×4は微速後退時でもトラクタヘッドのピッチングがない。これはトランスミッションの制御が緻密なのに加え、エアサスの効果も見逃せない。さらにアクティブステアリングの操舵が軽いためトレーラーを折り曲げる逆ハンドルから戻すことが遅れずに済むのがありがたい。また、ハンドルを大きく切ったときに自動的にステアリングが戻るセルフセンタリングが強力なのも電動アシストのステアリングらしい特徴だ。

坂道発進もトレーラーが苦手とする場面だが、乗用車と同様のヒルホールド機能があり、ブレーキペダルを放しても2秒間はブレーキが作動したままで後退を防いでくれる。そのままブレーキペダルを踏まないと自然に後退するが、2mほど下がるとまた自動的にブレーキが掛かるという安全性を重視した仕様。坂道での発進時から加速は極めてスムーズで駆動力の途切れ感がないため実際の加速も速い。

ドライバーWeb編集部

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