2023/04/21 新車

「2024年問題」を解決する操作性!?  UDの新大型トラクタヘッド「クオンGW 6×4」に乗った



■軽い操作力と外乱を伝えないアクティブステアリング



話題をクオンに戻そう。トラクタドライバーが重量物輸送で求めるのは、パワーと快適な操縦性と疲労の軽減だ。馬力に余裕があれば運転が楽なのは乗用車と同じで、高速道路の合流や登坂路を楽に走ることができれば疲れが少ないことはトラックでも同じ。そのためクオンGW 6×4は高出力、大トルクの直6ディーゼルGH13エンジンを採用。型式からもわかるように排気量が13Lにもなる大型エンジンで、最高出力は470馬力(最大トルク2346Nm)、490馬力(同2448Nm)、530馬力(同2601Nm)と3種類を設定。特に530馬力仕様はクラストップレベルの数値を誇る。ちなみに、ベースエンジンはボルボのD13系で、クオンGW 6×4自体がボルボ時代のノウハウが生かされたモデルだ。試乗会に展示されていたエンジンを見るとブロックには「MADE IN ITALY」の文字が刻まれ、インテークパイプなどには「MADE IN INDIA」の文字が見られた。



試乗は悪路から開始。試乗車はクオンGW 6×4のエアサスペンション仕様で、ヘッドのみでの走行だ。まず驚かされたのは波状路での走行。路面左右がくぼんでいるため車体が左右に大きく揺れるが、ステアリングに手を添えているだけでまっすぐ進み、サスペンションシートのおかげもあって波状路とは思えない優しい乗り心地。通常ならば外乱によってステアリングにキックバックが起こり、ステアリングをしっかりと保持するところだが、UDアクティブステアリング(クオンの4軸大型トラックCG系の後軸エアサス車などではオプションだが、GWでは標準装備)の効果で手を添えているだけで走ることができる。このアクティブステアリングもボルボFH系が採用するタイプと同じで、油圧パワーステアリングにモーターを組み合わせることで運転操作をアシストしてくれる。モーターの制御ユニットは、各種センサーから1秒間に約2000回の情報を得て運転環境を検知して、ステアリングの重さに適切なトルクを付加するという。積み荷や路面状況などに左右されないステアリング機構だ。



操舵感は極めて軽く、軽乗用車より操舵力がいらないほど。路面からのインフォメーションはほとんどなく、乗用車ばかりを舗装路で運転している筆者は心もとなくなるが、開発エンジニアに聞くと「ドライバーは仕事で運転するためなるべく疲れないほうが好まれます。悪路を長時間走る方もいるわけで、インフォメーションより軽いほうが好まれます。欧州のドライバーにはもっと軽いほうが好まれていて、ボルボFHはもっと軽い設定です」とのこと。クオンGW 6×4は国内のドライバーに試乗してもらい、これでも少し重めの設定だというから驚いてしまう。ボルボFHは車両設定で操舵力の設定を変えることができるが、クオンGW 6×4は変更できない。この操舵力の軽さは女性ドライバーにも喜ばれそうだ。



●右下にあるのがデフロックスイッチ

後輪4つが駆動するGW 6×4が威力を発揮するのが悪路での坂道発進。トラクタヘッドだけだと第5輪(カプラー)に垂直荷重がかからないためトラクションが得られにくいが、デコボコした坂でも一瞬トラクションコントロールが作動して難なく上ることができた。次は同じ場所でインパネ右側に付けられたスイッチでデフロックを作動させるとタイヤが空転することなく、あっさりと上る。6×4のためデフロックは前後別々に作動させることができ、試乗では前後をロックしたが、路面状況に合わせてデフロックを作動させることで、最大限のトラクションが得られるはずだ。

ドライバーWeb編集部

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