2023/04/21 新車

「2024年問題」を解決する操作性!?  UDの新大型トラクタヘッド「クオンGW 6×4」に乗った

■6輪のうち後ろ4輪が駆動する「6×4」駆動

【画像】クオンGW 6×4の堂々たる体躯

UDトラックス(以下UD)は2023年4月4日、大型トラック「クオン」のなかでもフラッグシップモデルにあたる大型トラクタの「クオンGW 6×4」を13年ぶりに復活させて発売した。トラクタとはトレーラーをけん引するためのトラックで、トラクタヘッドなどとも呼ばれる。重量物を載せたトレーラーをけん引するために優れた動力性能と高い操縦安定性が求められる。トレーラーを連結するカプラー部分は「第5輪」と呼ばれ、カプラー部分にかかる垂直方向の力の上限値を示す第5輪荷重は11.2トン〜20トンで大型トラックのうちで最大クラス。連結車両総重量(GCW)は54.8トンから86トンにもおよび、これをけん引できるトラクタは、重トラクタや重量トラクタとも呼ばれる。トラクタの分野ではUDは伝統的に強く、この重トラクタクラスのシェアはUDがトップとなっている。

クオンGWのGWは、3軸のトラクタの型式を指し、サブネーム的に付けられている「6×4」とは6輪(3軸)のうち、4輪(2軸)が駆動輪であることを示す。今回の場合はトラクタの後ろ側の2軸部分が駆動輪である。GWの重トラクタは、13年前にモデルラインアップの再編成により生産終了となったが、クオンGWを復活してほしいというユーザーからの声が多く、今回、復活したわけだ。



復活の背景にあるのは、近年、親会社の変更があったから。UDはもともと日本デイゼル工業として1935年に設立され、その後、日産自動車の傘下に入ると日産ディーゼル工業へ社名を変更。2007年にボルボに売却されて2010年に「UDトラックス」に社名を変更した。2020年にいすゞがボルボ・グループと戦略的提携に関する基本契約を締結したことで、いすゞ自動車がUDをボルボから買収。そのためUDが事実上の親会社となるいすゞと協業した製品の第1弾が、今回のクオンGW 6×4というわけである。


●左はクオン(右)をベースに顔を変えたいすゞ ギガ

同時にいすゞもクオンGW 6×4のOEM車となる新型トラクタのギガを発売した。従来いすゞは中型トラック「フォワード」の広幅キャブ(キャブ=運転台、キャビン)をベースに、大型トラックのキャブを仕立てていた。そのため、他社の大型トラックに比べると、若干、キャブが小さかったが、新型ギガはクオンをベースにすることで他社同様のフルサイズのキャブが得られたわけで、UDを傘下に収めた効果が表れている。当然だがギガの生産もUDの上尾工場で行われる。先述のようにUD生産のギガは、クオンをベースに新しい顔を持つキャブを新作したことから、今後、バリエーションの拡大が見込まれる。

ちなみに、クオンGW 6×4の内外装はクオンのフラッグシップとして専用の仕様になっている。外観ではダーククロームメッキの専用グリル、シルバーメッキのヘキサゴングリルと3本のバー、左右ドアに装着される専用エンブレム、チンスポイラーを装着。内装ではブラック系の専用シートとブラックレザーステアリングホイールを標準装備としている。ギガの内装はブラウン系の専用色で、ギガには専用装備としてADB(アダプティブドライビングビーム)が装備されている。テレマティクスシステムはUDといすゞでそれぞれ専用となる。





ドライバーWeb編集部

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