2022/07/19 モータースポーツ

CVTがスポーツ走行にもたらすメリットとは? GRヤリスRSを駆るラリードライバーに聞いた

CVTを搭載したGRヤリスRSのラリーカー

■昨年からGRヤリスRSで参戦…スペシャリストが語る

年間全8戦で行われる2022年の全日本ラリーも7月のARKラリー・カムイが終了しあと2戦を残すのみとなった。トップカテゴリーJN1クラスで快走を続けるヘイキ・コバライネン/北川紗衣 組の駆るFIA規定のラリー2車両、シュコダファビアの速さが印象深い2022年シーズンとなっているが、1500cc以下のFFで競われるJN5クラスもなかなか興味深い争いが続いている。CVTを採用したマシンの台頭が著しいこのクラスの攻防は、今までのモータースポーツのイメージを覆すものだ。

そこで今回は昨シーズンのラリー丹後2021からCVTを搭載したGRヤリスRSを実戦投入してきた天野智之選手にその走りについて伺ってみた。なお、話を伺ったのはちょうど1年後の同じラリー丹後2022。ちなみに天野智之選手はコ・ドライバーの井上裕紀子選手とともに、ヤリスの前身ヴィッツでこのクラスを長年リードしてきたスペシャリストだ。

昨年の記事
https://driver-web.jp/articles/detail/38939


●ドライバーの天野智之選手(左)、コ・ドライバーの井上裕紀子選手

まずは、CVTで戦ってきた1年間を振り返り、マシンの変更点や進化点を伺ってみた。天野選手によると、基本的にCVT自体は昨年の投入時と同じもので、タイヤサイズが最大の変更点だという。当初、前16インチ、後15インチでスタートして前17/後16インチ、そして現在は前18/後17インチとのこと。(今年のラリー丹後でのタイヤサイズは前245/40R18、後225/45R17)。1.5リッターのFFながら4WDターボモデルと同じボディのGRヤリスRSだからこそ選べるサイズだ。タイヤ選択にあたっては「幅的にはやはりパワーは食われているのかなって印象はあります。ただし外径についてはCVT側が(サイズに合わせて適正な出力を)調整してくれるということがわかってきました。だからどんな外径をを選んでもおおむね問題ありません。どんなコーナーでも合うし、どんなタイヤでも合う。この点においてCVTはメリットが多いんです」。

またコースの得意不得意については「基本的には車速の高いところはもともと苦手で、車速が低くゴー&ストップが多いところもパワー的に苦手です。データを見てもそういうシーンで離されています。とにかく中速コーナーが続くコースが得意なんです。今シーズンから18インチにしたことで、タイムは昨シーズンより上がっています。今年は開幕戦から(3戦終了時点で)全SS中6割6分くらいコイツがベストタイムなんです。正直僕自身もこのクルマでこういったタイムが出るとは思わなかったので、新しい気づきがありました。現状、ダートじゃなければ圧倒的なんじゃないですかね」と自信を見せる天野選手。実際、今シーズンは開幕4連勝を成し遂げている。


●タイヤサイズはフロント245/40R18、リア225/45R17


●昨シーズンのグラベルラリーはヴィッツで出場した天野智之/井上裕紀子 組。グラベルラリーでの初勝利はいつになるだろうか

ドライバーWeb編集部

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