2022/05/11 コラム

千葉の「移動式(可搬式)オービス」が高性能すぎる!? 都道府県別整備台数と取り締まり件数の最新データを入手

日本に配備されている移動式(可搬式)オービスの例。左はスウェーデン、センシスの「MSSS」、右は日本の東京航空計器「LSM-300」※警察庁のWebサイトより



■千葉は約4.9倍増、なぜっ?

千葉の台数は、2020年度は3台。2021年は10台だ。7台も増えたから? いや、そうじゃない。2022年1月30日付けの毎日新聞が「2021年の可搬式オービスでの摘発、前年の5倍 3台運用、5316件」と報じている。2021年は2020年と同じく3台態勢なのだ。7台は、2021年度末までに、つまり2022年の1~3月に購入したんだね。

3台態勢のまま、なぜ5倍近くにも増えたのか。おかしいでしょ。千葉の3台は(その後の7台も)SGG製だ。SGGの可搬式は超高性能なのに、TKK製をゴリ押しする一派に遠慮して、2020年は取り締まりを抑えていた。が、警察庁内でどんな“暗闘”があったのか、ゴリ押し派とは別の方面から2021年、ゴーサインが出た、ゆえに取り締まりが爆発的に増えたんじゃないかと、これも私の独自の見方だ。

■新潟、可搬式がないのに71件を取り締まり?

可搬式のマニアにとって新潟は重要な県だ。そのディープな話はまたの機会として、今回の一覧表をよくご覧いただきたい。2022年3月末現在、新潟に可搬式はない。ゼロだ。なのに取り締まりが71件もある。えっ、どゆことっ? 幽霊オービス?

あちこち当たってわかった。「可搬型オービス 新潟市で13日から 県警 3カ月の試験運用」と2021年9月7日付けの、「可搬型オービス速度順守6~7割に効果 新潟県警が試験運用を検証」と2022年3月13日付けの、いずれも新潟日報。それらによると、新潟県警は2021年9~12月、TKKの可搬式1台を140万円でレンタルし、試験運用を行った。その際、しっかり違反切符を切ったという。それが71件として計上されてたんだね~。ああ、びっくりした(笑)。

速報はとりあえず以上としよう。最後にひとつだけ言っておくと、SGG製の可搬式を10台もそろえた千葉は、ヤバイですぞ。3台で全国トップの5316件も取り締まり、2022年3月末から10台態勢なのだ。快適に高速度が出る高級車で、千葉のゴルフ場へ向かう社長さんとか、ぼろぼろ捕まりそう。というか、速度が上がると危険の発見が遅れ、対処が遅れ、事故ったときの被害が甚大になる。そのことは、可搬式がどうとかに関係ない。ご注意を。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

ドライバーWeb編集部

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