2024/03/21 コラム

どの標識にどう従えばいい? ややこしすぎる電動キックボード

電動キックボードの種類によって、従うべき標識に違いがある



■「自転車を除く」の補助標識、電動キックボードは?

一方通行路の出口には、進入禁止の丸い標識がある。たいてい「自転車を除く」という補助標識が付いている。指定方向外進行禁止の標識などにも同じ補助標識をよく見かける。

一般原付は自転車じゃない。「自転車を除く」と補助標識があっても、一般原付で進入したら逆走の違反になる。

では、特定原付はどうか。特定原付も自転車じゃない。ところが、「自転車を除く」とあれば進入できる。逆走の違反にならない。なぜ?

「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(以下、標識令)が、標識等の形状や意味について細かく定めている。2023年7月1日、特定原付が登場したのにあわせ、「別表第一」の「備考」にこんな一文が加わった。

普通自転車が本標識が表示する交通の規制の対象となる車両でないことを示しているものについては特定小型原動機付自転車も当該本標識が表示する交通の規制の対象となる車両でないことを示すものとする。

わっかりにくいよねえ(笑)。ずばり短く翻訳するなら、「自転車を除く」の補助標識については特定原付も除くよってこと。特定原付は、「自転車を除く」の標識があれば、一方通行を合法に逆走できるのである。

原付バイクは、法定速度が30キロ。特定原付は、構造上20キロまでしか出せないことになっている。どうかすれば自転車より遅い。車体も小さい。なので「自転車を除く」の補助標識は特定原付も対象とするんだそうだ。

特定原付としての電動キックボード、これからどうなっていくんだろう。いずれ、迷惑運転や死亡事故が大きく報道され、自転車とあわせて大がかりな制度づくりへ動くんじゃないか。注視していこう。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から交通事件以外の裁判傍聴にも熱中。交通違反マニア、開示請求マニア、裁判傍聴マニアを自称。

ドライバーWeb編集部

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