2023/06/14 コラム

なぜ千葉がダントツトップ? 可搬式(移動式)オービスの取り締まり都道府県別データを入手

可搬式オービス(写真はTKK製)


■可搬式の取り締まり、SGGの千葉がまたトップ!

次に下記表の右側、「撮影枚数」である。撮影枚数=取り締まり件数だと警察庁はいう。ちょっと首をひねりたくなるが、とりあえずそのとおりに聞いて話を進めよう。



これもまずは一覧表をご覧いただきたい。バラつきが非常に大きい。新潟は0枚となっている。設置数は年度(4月~翌年3月末)、撮影枚数は歴年(1月~12月末)のデータだ。新潟の1台は、2022年度のうち2023年1月~3月末の納入で、その撮影枚数は2022年1月~12月末の集計には載っていない、のかもしれない。

撮影枚数の合計についても、過去のデータをふり返ってみよう。

2019年中   5069枚
2020年中 1万1568枚    +6499枚
2021年中 2万6508件 +1万4940枚
2022年中 3万1555件    +5047枚

都道府県別に見ると、2022年は24都道県が増加し、23府県が減少している。撮影枚数も増加数も全国トップは、前年と同じく千葉だ。5316枚から8273枚へ、2957枚も増えた。2022年の増加数の全国合計の、なんと6割近くを千葉が占める!

千葉の整備数は10台だ。多い。でもいちばん多いのは警視庁(東京)の11台。東京は2263枚から2861枚へ、598枚増えただけ。撮影枚数も増加数も、千葉とは比べものにならないほど少ない。

いったいどうなっているのか。じつは、東京の可搬式はすべてTKK製、千葉のはSensys Gatso Group(SGG)製なんだね。SGGはスウェーデンに本社を置く世界的企業だ。可搬式を10年ほどウォッチしてきた私にはこんな構図が見える。

・SGG製=高性能。
・TKK製=性能的に問題あり。しかし警察庁がゴリ押し。

2022年度末時点で可搬式は全国に132台。その8、9割ほどはTKK製のようだ。が、TKK製の可搬式はどうも取り締まりに向かない。「見せる取り締まりで速度抑止を」と、つまり“カカシ効果”を言いだしてもう何年もたつ。1台約1000万円のカカシとは贅沢だ。どうするつもりなの、と見ていたら新潟に突然、JRCの可搬式が登場したのである。

ネットは今のところ「この道路に移動式を見た。気をつけろ」などとカカシ効果を支えている。けど、いつまで続くのか。JRCの可搬式、性能はどんなか、今後どう展開していくのか。正直、ハラハラドキドキする。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

ドライバーWeb編集部

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