2023/04/20 新車

このシッカリ感で約230万円〜はアリ!?  だけど…スバル インプレッサ プロトタイプ試乗

●4ドアセダンを廃止して5ドアハッチバックに一本化。先代よりスポーツ色を強めた


■やはりブレーキに違和感

シャシーのセットアップはもちろん、クロストレックと異なる。サスペンションは最低地上高135㎜の一般的な車高で(クロストレックは200㎜)、プレミアムタイプのサマータイヤを装着する。ステアリングに固定ギヤ比を採用するのもクロストレックとの違いだ。

ハンドリングは精度が大きく向上。先代はまるでXVの可変ギヤレシオのように初期操舵のレスポンスが1テンポ遅れるが、新型は操舵開始からフロントがリニアに反応する。フルインナーフレーム構造などによって剛性を高めたボディやサスペンションの取り付け部、ダイレクト感に優れた2ピニオン電動パワステなど、レヴォーグから国内投入が始まった技術アイテムの成果だ。


●まだ正式発表はないが、ボディは前出のクロストレックに順じ、構造用接着剤の塗布範囲拡大やサスペンション取り付け剛性の向上が図られているはず

サーキットをそれなりの速度で走ると、サスペンションは伸びやかでロールが初期からはっきり感じられる。もちろんスポーツマックスのグリップ力とは十分にバランスされ、収束は素早い。縁石に乗り上げてもショックはじつにマイルドだ。そして、コーナリングにおけるステアリングやサスペンションの動きが、とても滑らかにつながる。

個人的には、インプレッサのキャラクターを際立たせるもっと明快なスポーツフィールを想像していた。が、それより印象に強く残ったのは、クロストレックに共通する非常に上質で洗練された走り味なのだ。


●17インチ仕様の標準装着タイヤはダンロップ SPスポーツマックス050(215/50R17 91V)。銘柄こそ先代と同じだが、軽量化とトレッドパターンの最適化を図った新作


●シートはクロストレックと同様、頭部の揺れを抑えるべく人体構造と医学的アプローチで設計した新型。同じく、ルーフが振動することで発生する騒音(音圧)の低減と車内音の収束性を高める高減衰マスチック(弾性接着剤)をルーフパネルとブレースの間に採用している

駆動方式では、FFがさらに軽快なハンドリング、4WDは限界付近の安定性が特徴。ただ、シャシーが動力性能を完全に上まわっているため、ドライ路面で違いはそれほど大きく現れない。公道のワインディングならなおさらだろう。先代で運動性能をスポイルしたバッテリー重量のハンディは、両者ともほとんど克服している。一方、電動ブースターとHVの組み合わせはスバル初だが、回生協調に違和感が残る課題はクロストレックと同じである。

低中速域のワインディングでは、少なくともサーキットよりスポーティに感じられるだろう。それでも、走りにもっとインパクトが欲しい気もする。米国仕様には2.5L ガソリンがあるが、日本に導入しても数は売れないだろう。スバルはCAFE規制(企業別平均燃費基準)でなかなか厳しいという事情もある。国内で現実的なのは、やはりSTIスポーツか!?

いずれにせよ公道での実力もチェックが楽しみ。カローラ スポーツ、マツダ3 ファストバック、シビックとの対決も興味津々だ。


●シートアレンジは先代と同様、前倒しのみのシングルフォールディング。簡単な操作で荷室を拡張でき、床面が比較的フラットなのも歴代の美点だ



〈文=戸田治宏〉〈写真=山内潤也/SUBARU〉

ドライバーWeb編集部

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