2023/04/18 新車

まるで小さなアウトバック!? スバル クロストレック公道試乗…ブレーキフィールは要改善

●先代(XV)よりクラッディング部分を拡大。引き締まった立体感の表現に寄与するドア下部のアクセントラインは、思いのほか抑揚がある



■最後の最後で残念なブレーキフィール


そのフィーリングはパワーユニット以上に洗練の度合いを増している。200㎜のロードクリアランスを持つサスペンションが、強固なボディの下でとにかくよく動く。伸びやかかつ精緻なストロークで路面を捉え続け、不快な突き上げやショックをバネ下で吸収。細かい振動も十分に抑えられている。


●eボクサーとFWD(FF)の組み合わせはスバル初。AWD(4WD)より軽量で重量配分が前寄りとなることでさらなる軽快な走りが期待できる(写真はAWD車)

ステアリングもフリクション感がなくスッキリ。切り込んでいくとクイックになる可変ギヤ比を継続採用するが、中立付近のレスポンス向上で従来の段付き感が解消している。ワインディングではボディが車高なりにロールするものの収束は素早く、姿勢はフラット感が高く安定している。コーナーの進入から脱出まで、一連の操舵感やクルマの動きがとにかく滑らかにつながる。腰まわりのホールド性が格段に向上した新設計のフロントシートも、走りの一体感を高めた一因だ。


●シートは頭部の揺れを抑えるべく、人体構造と医学的アプローチで設計した新型。骨盤を支える設計として腰への負担軽減を図ったほか、シートレールの固定構造もブラケット介在から車体への直付けに変更。取り付け剛性と振動収束性を向上させた


●ステレオカメラの画角が従来型の約2倍に拡大。ソフトウェアの改良によりより広く遠い範囲まで認識可能となった。その下には国内スバル初採用の広域単眼カメラを配置。前者より広域で、低速走行時の二輪/歩行者の認識が可能となった

ひとつだけ残念なのはブレーキフィール。例えば赤信号でペダルを踏み込み、停止直前で一瞬緩める際、思った以上に制動力が抜けてしまう。電動ブースターとHVの組み合わせはスバル初だが、回生協調のさらなるチューニングをお願いしたい。

その点を除けば、最新世代のコンパクトSUVとしてクロストレックに求めるものは、すべて叶えられている。 “進化” というより “深化” 。たくましさと優しさを併せ持つ、懐深く洗練された走り味は “小さなアウトバック” と言ってもいい出来栄えだ。


●北米向けとしてこの4月に発表された「ウィルダネス」シリーズの第三弾。アウトドアを前面に打ち出したデザインをはじめ、約236㎜の最低地上高と専用サスペンション、オールテレーンタイヤなどの組み合わせ。パワートレーンは2.5Lボクサーとリニアトロニックの組み合わせ

欲を言えば、北米向けに発表されたウィルダネスの日本導入もぜひお願いしたい。それもかなえば唯一無二の存在感は決定的になる。

〈文=戸田治宏〉〈写真=山内潤也/SUBARU〉

ドライバーWeb編集部

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