2023/03/27 カー用品

プローバがスバル WRX S4を万能スポーツのさらなる高みへ|PROVA|

創設は、主力車種がまだレオーネであった1980年。以後、サーキットレースの第一線で得た知見を基に技術を磨き、今日に至るスバル車の飛躍にも深く関わってきたプローバ。プロダクトを知り尽くしたチューナーが手がけると、「S4」はここまでイケる。
 

次世代スバルの可能性
 
元号が昭和から平成になった1989年。スバルの威信と社運をかけて送り出されたレガシィ。そのデビューに合わせて投入され、以後長らく基幹のパワーユニットとして君臨したのがEJ型エンジンだ。
 
なかでも、WRXに搭載されたEJ20ターボはWRC(世界ラリー選手権)を席巻。誕生から30年を迎えた2019年には、先代(VAB型)のWRX STIタイプSをベースにバランスドエンジンを搭載した特別仕様車、「EJ20ファイナルエディション」が限定555台で発売されたことは記憶に新しい。
 
惜しまれつつ生産を終えた名基EJ20と、それを搭載する4WDスポーツセダンのWRX STIだが、もうひとつのWRXである「S4」は、22年にVAG型からVBH型にフルモデルチェンジ。エンジンは先代の2L直噴ターボ(FA20型)から2.4L直噴ターボのFA24型になり、新世代のCVTであるスバルパフォーマンストランスミッション(SPT)が組み合わされる。
 
北米仕様では6速MTも選べるが、国内は今のところ2ペダルのSPTのみを設定。とはいえ次世代車台のスバルグローバルプラットフォーム(SGP)を核とし、低回転から豊かなトルクを発生させる2.4L直噴ターボの動力性能、それを生かすSPTの素早い変速レスポンスと、S4もWRXの継承車にふさわしいポテンシャルを秘めている。
 
スポーツ4WDセダンとしても貴重なS4の素性のよさを生かしながら、2ペダルだからこそ広がる楽しみ方……ふだん使いから最新版のアイサイトが安全運転をアシストするロングドライブ、そしてパフォーマンスを解き放つサーキット走行まで幅広い用途を1台でこなせるカスタムを提案するのが、老舗のスバルチューナーである「プローバ」だ。
 
バランスよく持ち味を引き出す
 
スバルにはワークスであるSTIのほかに、モータースポーツや車両開発を後方支援する「準ワークス」のチューナーが存在する。プローバもそのひとつで、ニュルブルクリンク24時間耐久レースやスーパー耐久シリーズにも参戦。ドライバーとしてステアリングを握ってきたのが、同社代表の吉田寿博氏だ。
 
「MT好きの人にはあまり響かないのかもしれませんが、実際に走らせてみると、今どきの2ペダルは侮れません。SPTは変速レスポンスが素早く、CVTに対するネガティブなイメージが変わるはずです」と、新型S4を評価する。
 
SGPへの車台の刷新も奏功。「先代は車体で補えない部分を足まわりやタイヤに依存する傾向がありましたが、SGP&フルインナーフレーム構造のボディになってからはサスペンションの性能を存分に発揮できるようになり、クルマ全体でメカニカルグリップをしっかり出しているなと感じました」と、氏はノーマル車で走り込んだ印象を語る。
 
足まわりは先代STI(VAB型)や同レヴォーグ(VM型)で定評のある全長調整式・減衰力20段調整のオーリンズDFVをベースに、オーリンズ製スプリングをセットしたスポーツサスキットを設定。
 
シャシーとクロスメンバーの締結部には「リジカラ」と呼ばれるクロスメンバーカラーを挟み込んでクルマを剛体化。不要な動きを抑え操舵時のリニアリティを高めている。
 
このほか「バリス」や「フジツボ」といった各ジャンルの老舗とコラボしたエアロとマフラー、オリジナルのブレーキキットをラインアップ。
 
これらを装着したデモカーを走らせると、ADASの機能を妨げずに「走る・曲がる・止まる」の基本動作を一層底上げした印象。サーキット寄りのセッティングであってもしなやかさを感じられる、素材を知り尽くした“名店の味”を堪能できた。
 


PROVA
スポーツマフラーは藤壺技研工業製。軽量化のため片側シングル出しにしたプロトタイプ。エアロパーツはスーパーGTやS耐に供給実績があり、空力だけでなく冷却や耐久性、軽さを兼ね備えたVARIS(バリス)とのコラボ。第一弾はフロントスポイラー、サイドスカート、リヤディフューザー、GTウイングを設定。このほかカーボンボンネットとトランクを東京オートサロン2023でお披露目している。
 

見たままの剛性感とウラハラなしなやかさ

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デモカーは筑波サーキットのタイムアタックを控えたホンキ仕様。スポーツサスキットのオーリンズDFVのアッパーマウントは、通常のゴムブッシュからジオメトリー変化を抑えるためピロボールに変更され、バネレートもストリート仕様の7~8kgに対し12~14kgでセットアップされていた。これだけ聞くと相当ハードな乗り味を想像させるが、高速道路ではしなやかに路面に追従。強めの入力も一発で収束するので挙動が乱されず、フラットライドをキープする。
 
 
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スーパースポーツECUはノーマルコンピューターの解析が進み次第、開発に着手する予定。エンジンまわりは筑波アタックに備えてDRL(ダイワレーシングラボ)とコラボしたスポーツラジエターに交換されていた。
 
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足元は鍛造1ピースのボルクレーシングG025に245/40R19サイズのポテンザRE-71RSの組み合わせ。ブレーキはフロントに対向4ポットキャリパーと大径ディスクローターなどをセットにしたシステムキットを、リヤは純正電動パーキングキャリパーを残しつつ制動力を高める、ローターとパッドがセットのアップグレードキットを設定予定。
 

PROVA
代表取締役 社長
吉田寿博
 
「われわれはスバル屋なので、メーカーが出してきたものをいかに“プローバの色に染めるか”という部分で可能性を探っています」と、S4カスタムへの抱負を語る吉田氏。ニュルやS耐など耐久レースの知見を注いだベストバランスのカスタムメニューを提案する。
 
PROVA
〈文=湯目由明 写真=山内潤也〉

■問い合わせ先
プローバ
TEL:045-591-5501
http://www.prova.co.jp

ドライバーWeb編集部

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