2023/01/31 コラム

トラックドライバーは見ている! 普通車の要注意車両、その特徴とは

何が迷惑なのか、おわかりだろうか?



⑤都会より地方で多く感じる、あおりハンドルと内かけハンドル

あおりハンドルとは、脇道に入る場合などに一度車両の頭を逆側に振り出してから曲がる操作のこと。曲がる際の内側の障害物を避けるためや、なるべく脇道に真っ直ぐ進入したいなどの意図があり、全長の長い大型車の場合は意図的に行う場合はあるが、普通車の場合この操作は大概不要。むしろ曲がる方向と逆側に頭を振る操作のせいで、並走車に接触と言った事故につながることもあり、教習所でも推奨していないはずだが、実際にはこれをやるドライバーが案外多い。特に車幅のあるトラックが側方を通過している場合など、かなりヒヤッとする。

この操作については以前の記事でも述べたが、傾向的には都会の主要道よりも、地方道での方が多いように感じる。道幅に余裕がある箇所が多く、接触事例が少ないせいもあるのかもしれないが、筆者はそういう経験から、地方の幹線道などでは特にこのあおりハンドルドライバーに気をつける。なおこれは蛇足だが、あおりハンドルをする人は、内かけハンドルで操作する傾向が強いように感じる。

⑥大型車駐車スペースにわざわざ止める普通車

大型車の困ることは、コンビニや飲食施設の駐車などで、利用に制約があること。特に都心や市街地などでは駐車スペースが小さくて止められず、結果的に大型駐車スペースのある郊外型のコンビニや道の駅、高速のSAやPAが貴重な休憩スペースとなる。ところが、こうした大きなスペースにわざわざ普通車1台を止める場合がある(普通車スペースがあるのに、である)。無意識にやっているのだろうが、特に昼時や夕食時など、休憩需要が多い時間帯にこれをやられていると、大型トラックは困って路頭に迷うことがある。トラックは、普通車ほど自由に休憩できないことを理解して、駐車場所を選んでいただきたい。


●とある昼間の高速道パーキングにて。大型車の駐車スペースはほぼ満車で休憩場所で路頭に迷う状況なのに、こういう普通車がいる。ちなみに普通車の駐車スペースが満車だったわけではないのだが…

⑦自転車ナビマークについての懸念

ここ最近路上に増えたものとして、左脇にペイントされた自転車のマークと矢印がある。これは2020年の開催予定だった東京オリンピックに向け、自転車が通行を推奨される部分をより具体的に示しておこうという意図で設置され始めたのだとか。

より幅が広くて水色にペイントされた自転車専用通行帯とも、独立した自転車専用レーンとも異なり、従来の道にペイントのみが施工されたこれらは“自転車ナビマーク”というらしいが、近年最も目につくのがこの表示だ。ここを走らなければダメという法的な効力はなく、歩道を利用する歩行者と自転車を安全に分けるための目安であり、矢印の進行方向表示で逆走を抑止すると言った狙いがある模様。ところがこのナビマーク、このペイントが設けられても、車道の幅が従来より拡幅されたケースは極めて少ない。つまりは従来車道だったところに、拡幅なく追加塗装されたケースが実に多いのだ。


■矢印と自転車の図柄が組み合わさり、路面にペイントされた“自転車ナビマーク”。ここ数年間で増えたこのマークだが、広くもない道幅の車線でも設置されるのは安全上どうなのか? 特に夜間、反射板や尾灯をまともに装備せず走る自転車にハッとすることも多い

そこで疑問に思う。この自転車ナビマーク通りに自転車が通行すること=自転車は安全か? この塗装設置によって、自転車に乗る人とその脇を通るクルマとの距離は極端に近くなり、場合によっては自転車はその後ろにクルマの渋滞を発生させ、痺れを切らしたクルマが自転車からギリギリの真横を通り過ぎたりもする。特に車幅の広いトラックの場合、自転車ナビレーンを自転車の追い抜きはほぼ困難で、その自転車が歩道に避けてくれるか、脇道に入ってくれない限りノロノロと後ろをついていくしかない。

一方自転車を使う側にすれば、この自転車ナビマーク付きのエリアは、法的拘束力がないと言っても自分が走るべきラインだと認識してそこを走り、たとえ道幅が狭くて後続に渋滞を作ったとしても延々とそこを走り続ける。つまり、クルマの混み具合によって歩道に移ると言った対応をしなくなりがちなのである。果たしてこれが、安全上も交通の円滑な流れにとっても、有効な対処なのか、つねに疑問に思う。

そしてさらにタチの悪いのは、イヤホンを耳にさして自転車に乗る人。クルマの流れを確認もせず本線に進入してくるなど、自転車ナビレーンを走っていれば安全と思っているのか、安全ボケも度が過ぎる。これに加え、今後キックボードユーザーなども増殖してくるなんて状況になると、トラックドライバーとしてはさらに悩ましいと感じる昨今である。

〈文と写真=阪 和浩〉

ドライバーWeb編集部

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