三菱自動車が11月4日に公開した「デリカミニ」。三菱の「ミニ」といえばかつての人気車「パジェロミニ」を思い起こすが、2023年初夏に発売を予定しているデリカミニは、スライドドア付きの新型軽スーパーハイトワゴンだ。
軽乗用車では約4割を占める人気のカテゴリーであるスーパーハイトワゴン市場には、標準タイプ、カスタム系に加えて最近、アウトドア系のSUVテイストのモデルが続々と登場している。スズキ スペーシアギアに続いて、22年10月にはタントに「ファンクロス」が追加された。三菱のスーパーハイトワゴンでは、標準のeKスペースや、カスタム系を意識しながら若干SUV寄りの成り立ちを持つeKクロス スペースがラインアップに存在するが、第3のモデルとして「デリカミニ」を新たに発売することになった。
【画像】デリカミニの特徴は愛着が湧くフロントフェイスデリカミニの商品コンセプトは「Reliable＆active super height wagon＝頼れるアクティブ・スーパー・ハイト・ワゴン」で、ターゲット層は気軽にアウトドアを楽しむ家族である。訴求ポイントは、親近感のあるスタイル、広くて便利で快適な室内空間、運転のしやすさと走行性の3点となる。今回はデザインのみの発表であった。
デザインコンセプトは「デイリーアドベンチャー」。実用的なスーパーハイトワゴンのパッケージングに、アクティブな軽自動車のライフスタイルを融合。アウトドアシーンにマッチするのはもちろん、街なかでもファンション的な感覚でちょっとした存在感を感じさせるデザインを目指したという。デリカが持つ「元気、カッコいい、頼りになる」というイメージと、ミニという言葉が持つ「小さい、かわいい、放っておけない」といったイメージを盛り込んでデザインしたという。
そのフロントフェイスはキリッとしつつも、親近感を感じさせる丸い目が印象的。アイコニックなキューブ型のアッパーグリルも採用されている。構造体が組み込まれたようなタフなダイナミックシールドに、たくましいスキッドプレートを組み合わせている。
リヤはタフでソリッドなバックドアフィニッシャー、フロントとコーディネートされたスキッドプレートを装着。フロント同様にバンパー下部をつやのあるブラック塗装とすることで高品質感を表現している。また、大きめにあしらわれた「DELICA」の文字もデリカミニの特徴だ。
■伝統のデリカに愛着を表現するミニを付加さて、デリカミニという車名について。デリカは1968年に発売された小型トラックに端を発する。翌年にはバンと９人乗り乗用車のコーチを追加。1ボックスタイプの投入を見据えて、広いカーゴスペースによって荷物を運ぶといったニュアンスから「デリバリカー」を略してデリカと命名された。当時、同じ水島製作所で生産していた軽自動車のミニカとも歩調を合わせたようなネーミングだった。
その後、2代目は小型キャブオーバータイプとして日本初の4WD車を設定。初代パジェロにも搭載されたハイ／ローレンジ切り替え式のトランスファー付きパートタイム方式を採用し、フリーホイールハブやLSD、電動ウィンチもオプションとして設定していた。その後、乗用系は3代目のスターワゴン、4代目のスペースギア、5代目の現行デリカD:5へと進化し、広い居住空間を生かしつつ走りを持ち合わせた三菱を代表するモデルとして発展を遂げてきた。
ブランド誕生から来年で55周年。デリカはもともとの荷物を運ぶ役割から大切な家族や仲間と過ごす楽しい時間を提供するクルマへと進化してきた。ネーミングにデリカを使用したのは、アウトドア系SUVテイストの軽スーパーハイトワゴンモデルを導入するにあたり、先述のデリカの大切な家族や仲間と過ごす楽しい時間の提供を軽自動車で実現したことによる。
三菱が行った市場調査では、スーパーハイトワゴンの購入者の中心であるヤングファミリーにとって、本格4WDモデルのデリカはコアなファンが乗るといったイメージからやや遠い存在に見られていることがわかり、親近感をもたらすミニを加えた。デリカミニを身近な存在、自分たちのクルマと感じてもらいたいとの思いで命名したという。
三菱ではかつてパジェロの末っ子として軽本格SUVの「パジェロミニ」を発売してヒットさせたが、それとのつながりも意識してデリカミニという名前を付けたという。車名検討段階では、デリカD:5やデリカD:3、デリカD:2の車格的な意味合いから「デリカD:1」というネーミング案も検討されたが、調査結果も踏まえてより愛着がわくデリカミニに落ち着いたという。
〈文＝ドライバーWeb編集部〉
