2022/01/31 モータースポーツ

GRヤリス ラリー1に、F1みたいなハイレーキコンセプト? 異常なまでに持ち上がったリヤフロアの理由とは?【WRC 2022】

©︎TGR ●GRヤリス ラリー1。リヤから見るとフロアが持ち上がっていることがよくわかる


■グラベルラリーではどうなる?


もう一つの疑問は、ラリー特有の路面の違いによるレーキ角はどうなるのかということ。これも勝田選手が答えてくれ、GRヤリス ラリー1に関してはターマック(舗装路)ラリーだけがハイレーキに。グラベル(未舗装路)ではハイレーキにならない予定だそう。グラベルはターマックに比べ必然的に最低地上高を上げなければならないため、フロントのフロア下をいかに狭くするかに重点をおいたハイレーキコンセプトは、あまり効果的ではない。

ということは、ターマック以外でのハイスピードラリーでは挙動の不安定感がさらに出てきやすくなるのかもしれない。WRカー時代ほどダウンフォースを得られないため、クルマがどう動いていくかを予想しずらく、ドライバーによっては今までの走り方を変えざるを得ない場合も出てくるだろう。

GRヤリスRally1
●2021年までのマシン、ヤリスWRカーのコーナリング中のカット。サイドフロアは平行に近い

GRヤリスRally1
●モンテカルロでのGRヤリス ラリー1。コーナリング中でもリヤに向かって持ち上がるフロアがわかる


あまりに走行データが少ないラリー1にとって、ハイレーキコンセプトは数ある選択肢のうちの一つに過ぎないのかもしれない。失った安定感をどう取り戻すか、目下そこが重要な課題であり、ハイレーキはその対策案の一つだということ。そう考えると、今後ハイレーキコンセプトがラリー1の主流になるとは限らない。今は試験的に取り入れていると考えるのが妥当だろう。

各チームが一体この先どういう結論を出してくるのだろうか。グラベルラリーに関して言えば、シリーズ後半戦が始まる第7戦のエストニア、第8戦フィンランドの高速グラベル2連戦が、一つの基準点になるかもしれない。ハイレーキコンセプトが使えないグラベルにおけるセッティングの答えがここまでに見つかっていないと、今シーズンの戦いは厳しくなるだろう。

そしてシーズン最後のターマック2連戦、スペインとジャパンでラリー1がどのような姿を見せてくれるのか? その時、ハイレーキコンセプトは健在なのだろうか? 今はそこを楽しみに待つしかなさそうだ。


<写真=Redbull/TGR 文=ドライバーWeb編集部・青山>



ドライバーWeb編集部・青山

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