──60億円の予算と600名以上のスタッフで研究・開発されている排ガス対策のなかにロータリーエンジンも入っているんですか?
真木次長 ええ、候補として入っていると言っていいでしょう。
──率直に言って、ロータリーエンジンを開発されるメリットというのはなんですか?
真木次長 基本的にはNOx(窒素酸化物)が少ないこと、それから振動上有利な点。それに、これは今すぐということじゃないけれども、潜在的メリットとして考えられるのはクランクシャフトから下の部分、要するに下半身のスペース的な面ではレシプロとほとんど同じですが、クランクシャフトの上のエンジンルームのスペースは、将来排気ガス対策のいろんなものを付けていくときに、スペース上有利になるんじゃないかというのが、ひとつのメリットとして考えられているわけです。
──エンジンそのものがコンパクトだという点ですね。
真木次長 クランクシャフトから下半身はそう問題にならないが、上半身ですね。
──排気ガス対策のみではなく、新しい内燃機関として開発していると言われましたが、ロータリーエンジンのフィーリングとか、コストダウンというような点もあるのではないですか?
真木次長 コストの点から言うと、やはり高くなると思います。ロータリーエンジンはすでに商品化されているものですし、フィーリングや性能上の問題はすでにさんざん議論し尽くされているものです。言い換えるとメリットがデメリットを上回ったから商品化されたといってもいいでしょう。ロータリーの魅力といえばなんといっても性能面のスポーティさですね。エンジン回転は振動の面も含めてとてもスムーズです。それにレスポンスが良いと言えるでしょう。
──川又社長が発表されているように、来年(1973年のこと)秋発売ということになると、排気ガス対策も1974年なり1975年の規制値にミートしたものになっているということですね。もしそうだとすると、コスト面ばかりでなく、乗り心地をいかにして損なわないで規制にミートしたものを作るかということになると思うんですが、東洋工業ではこの点「ある程度メドはついた」と言っています。日産の場合はどうですか?
真木次長 まだ開発の段階で将来のこともいろいろ考えて折り込むことはやっております。けれども今すぐどういう結果が出てくるかということは、まだ発表の段階ではありません。
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