2024/04/01 コラム PR

ディーラーメカニックをレースに派遣。その先にあるものとは|東京スバル×GR86/BRZ Cup|

ナンバー付き車両のワンメイクレース「GR86/BRZ Cup」に参戦し、各レースの現場にはディーラーメカニックを派遣してレースをサポートしている東京スバル。この活動を通じてメカニックとしてのモチベーションアップとスキル向上を図り、さらなる安心と信頼をユーザーに届けることが目的だという。2024年シーズンの派遣メンバーとして選出されたディーラーメカニックに話を聞いた。

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前回に続き選出
木下大輝さん(世田谷店)

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前回は次世代育成プロジェクトメンバー
田中祐也さん(中野店)

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再挑戦で選出
冨田洋平さん(府中店)

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初挑戦で選出
福田聖也さん(立川店)


■連覇を狙う東京スバル

国内のワンメイクレースでもっとも盛況なGR86/BRZカップ。安全・安心・公平を最優先にしたレギュレーションが白熱したバトルを生み、自動車文化の醸成にもつながる。

なかでも注目を集めるのが、スーパーGTに現役で参戦するトップドライバーたちが多数参加し、イコールコンディションでガチンコ勝負を繰り広げるプロフェッショナルシリーズ。マシンの性能差が少ないからこそドライバーの腕が試されるし、マシンを完ぺきに整備して安全にコースへと送り出し、無事に完走へと導くメカニックの存在が欠かせない。

2023年のシリーズチャンピオンに輝いたのが、スーパーGTやスーパー耐久、NBRチャレンジでスバルのワークスドライバーとして活躍する井口卓人選手が率いるTeam Takutyとともに運営を行い参戦する東京スバルレーシングだ。

そんな井口選手とともに初参戦の年にシリーズチャンピオン獲得という快挙を成し遂げたのが、ふだんは東京スバルの各店舗で働き、ユーザーに安心と安全を届けるスバルテクニカルスタッフ(TS)。いずれも厳格な選抜試験を突破した「選ばれし者」たちである。

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■レース参戦の意義とは

なぜ東京スバルがレーシングチームを結成し、メカニックを派遣してレースを戦うのか。活動の目的について、カスタマーサービス部テクニカル推進グループの青木真樹さんは「メカニックのモチベーションとスキルアップにつなげるため」と語る。

スバルにはメカニックがおのおの磨いた知識と技術を独自の試験で認定し、スキルアップをサポートするサービス認証資格制度「STARS」があり、知識と技術を競う「スバルサービス技術コンクール」や、ニュルブルクリンク24時間耐久レースに派遣される超難関の選抜メカニックを目指して日々研鑽を積んでいる。

電動化やADASなど、クルマの進化は日進月歩。点検や車検で日々スバル車と接するメカニックたちは、つねに最新の知識と高度な技術・知識の習得に取り組み、プロフェッショナルとしての誇りを持ちながら、ユーザーのクルマに接している。

そもそもスバルのメカニックは生粋のクルマ好き、スバル好きが多く、その熱量の高さがスバルファンであるユーザーにも伝わり、全幅の信頼を寄せて愛車を委ねてもらえる。

そこに「なじみのスバルディーラーに実戦の場で鍛えられたメカニックが在籍している」という特別感が加われば、BRZやWRX S4などスポーツ志向のスバルオーナーには特に響くはずだ。

今シーズンはタイトルホルダーの証であるカーナンバー1を掲げ、井口選手とともにプロフェッショナルシリーズを戦う東京スバルレーシング。レースに参加するメカニックの選抜試験を実施し、正規メンバー14人と次世代育成プロジェクトメンバー4人の計18人を選出した。

■それぞれの思いと意気込み

このうち、2シーズン連続で選ばれた世田谷店の木下大輝さん、昨シーズンの次世代育成プロジェクトメンバーに選ばれ、今季は正規メンバーに昇格した中野店の田中祐也さん、再挑戦で見事レースメカニックの座を掴んだ府中店の冨田洋平さん、初挑戦の立川店、福田聖也さんの4人に、選抜試験に臨んだきっかけ、レースという極限領域での仕事ぶりや、レースメカを経験して得られたこと、シリーズ連覇に懸ける思いを聞いた。

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「東京スバルに入社するきっかけが、最高峰のNBRチャレンジを目指せることだったので、そこに向けて努力をしてきました。自身のスキルアップの意味も込めてレース現場でのメカニックを経験してみたくて受検しました」と振り返る田中さん。試験の課題はタイヤローテーションで、ピット作業の動画を見て入念なシミュレーションを行い、レース環境で求められる安全的確な作業に努めた。

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選抜試験に合格できたのは、同じディーラーで働く仲間のサポートが大きかったと感謝を述べる冨田さん。「与えられた課題を動画で記録し、それをチーフメカニックや後輩に見てもらって指摘された部分を改善しました。ふだんからメカニックの立場で疑問があれば歳が離れていても互いに遠慮なく意見を言い合える関係で、ディーラー代表として期待を背負いながらも、『ふだんどおりの作業を正確にこなす』という気持ちで平常心を保って試験に臨めました」

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福田さんが試験の際に意識したのは、レースをイメージした動き方だ。「例えばブレーキだと、実戦では何周もハードに走った後に触ることになるので、ローターとキャリパーがものすごく熱くなっているという仮定で、少し持ちづらいですがタイヤの外側を持って直接ブレーキに触れないようにするなど、ふだんの業務でもレースでの所作を意識しながら臨むことで、試験に向けて気持ちを作っていきました。もともとレースが好きで、先代のZC6でサーキットに遊びに行ったりするので、そこでの経験が大いに生きています」

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木下さんは4人のなかで唯一の経験者。昨シーズンの第2戦、オートポリスではTeam Takuty×東京スバルレーシングが初優勝を飾り、チームリーダーとして参加した木下さんも感慨ひとしおだった。

「監督、井口選手、チーフメカニックの間でレースプランがキッチリ立てられているので、作業指示が的確で、自分のような初見のメカニックでもスムーズに仕事ができる環境に、『さすがはプロ集団だ』と感動しました。まだ2戦目なのに、チーム全体がとてもまとまっていて『このまま優勝するのでは』という雰囲気があり、予選で3位に入ったときには優勝を確信しました。決勝では予選の勢いそのままに終盤でトップに立って、表彰台のど真ん中に。面倒を見たマシンに対しては『手塩にかけたわが子が勝った』みたいな気持ちになり、涙が止まりませんでした。今シーズンも妥協せず、やれることを全部やって連覇を目指します」

■人を育てサービスの質を高める

レースで重点的に見るのがタイヤまわり。なかでも空気圧はコンマ1違うだけでもマシンの挙動やタイムを大きく左右するだけに、メカニックにとって空気圧の管理は責任重大。その大役を木下さんが任されたのだ。

「ディーラーで使っているものよりも空気圧を細かく測れるレース用のエアゲージがあるんですが、それを最初に『コレは一番大事なモノだからな。だからお前に任せる』ってチーフメカニックから手渡されたときに、期待の大きさに全力で応えなければと、気持ちを引き締めました」

公道に比べてはるかに速度域が高く、タイヤとブレーキに大きな負荷のかかるレースでは、ちょっとしたミスでもタイムロスにつながってしまう。そうした緊張感に満ちた状況で無事メカニックとしての役割りを果たした木下さん。貴重な体験は日常の業務でどのように反映されているのだろうか。

「タイヤの削りカスが至るところに付着していて、本来目視できる部分が見られなかったり、リフトがなくて床に寝て作業をしたりと、レースの現場は想定外の連続でした。そうした環境でも臨機応変にこなせる『対応力』が試されることを学びました。そして、無事レースを走り切るためにはピットインした時点でマシンの状況をしっかりと把握し、この先起こりうることを予測して調整や整備をすることがとても大切です。これはディーラーに入庫するクルマの点検・整備にも当てはまり、お客様の使われ方をしっかりとお聞きしたうえで、半年、一年先のコンディションを予測して、安心・安全にお乗りいただくための作業メニューをご提案するように努めています」

■すべては安心と信頼のために

実戦を通してディーラーメカニックとしての人間力とスキルを磨けるのも、東京スバルレーシングの一員に選ばれることで得られる大きなメリット。多くのスタッフが一丸になって表彰台のてっぺんを目指す、チームワークやコミュニケーション術を学んで職場に持ち帰り、ディーラー全体でサービス品質の向上につなげる。ディーラーメカニックとして働きながら、さらなる高みを目指すための登竜門でもある、東京スバルレーシングの活動。昨シーズンのメンバーの1人が、2024年のNBRに挑むディーラーメカニックに選ばれる(全国からたった8人の超狭き門)など、着実に実を結んでいる。


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カスタマーサービス部 テクニカル推進グループ
青木真樹さん
 

選抜試験はタイヤ着脱作業で審査
 
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選考試験は各店舗に審査員が出向き、タイヤの交換作業で審査が行われた。作業の正確さと同時に着脱時に足まわりのガタツキの確認など、基本的には通常の整備作業と同様の内容だが、コンマ1秒を競うレースだけにその素早さも求められる。加えて今回はBRZより最低地上高の高いクロストレックを使用。ジャッキアップの際にウマの高さ調整が必要であることなど現場対応力も量られた。審査されたのは38人で、後日8人の選考員が撮影した動画をチェック。14人の正規メンバーと4人の次世代育成プログラムメンバー(次年度候補生)が選出された。
 
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夢をかなえる舞台に……士気が高まる
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東京スバルレーシングチームドライバーの
井口卓人選手

レースの経験がメカニックとしての幅を広げる

東京スバルが公式スポンサーとしてサポートしている、井口卓人選手。Team Takutyを主宰し、東京スバルレーシングチームとともにGR86/BRZカップのプロフェッショナルシリーズにフル参戦。東京スバルの店舗で働くメカニックを選抜し、毎戦レースメカニックとして派遣する取り組みについて聞いた。

「自分たちが関わったクルマでよい結果を出せたとか、セッティングを調整してみてどうタイムに結びついたとか、レースを通して得られたひとつひとつの成功経験が、メカニックとしてのモチベーションを高めるきっかけになればいいなと思います。

この活動ではお店の整備とは違う世界の経験、チームワークやスタッフ同士の連携、コミュニケーションの取り方を学べるので、メカニックとしての幅が広がります。メカニックは“裏方”のイメージですが、ボクらが安心してレースに臨めるのはメカニックの存在があってこそ。この活動を通してもっとメカニックの存在や重要性にスポットライトを当てたいし、東京スバルに入社すれば最高峰のNBRまで道が続いている。レースメカニックへの夢の第一歩としてこの取り組みが役立てたら幸いです」。


東京スバル
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東京都内でスバル車両の販売および整備などを47店舗(新車32店舗、中古車6店舗ほか)で展開するスバルディーラー。約1050人の従業員を擁し、全国のスバルディーラー44社のなかで販売台数シェアは12.8%(2021年度)の規模を誇る。

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インタビュー取材を行った立川店は新車・中古車販売のほか、板金塗装ブースを備えた広い整備工場で販売後のケアにも万全の体制を整える。また、アフターパーツによるカスタマイズの要望にも柔軟に応える「スバルカスタマイズショップ」も展開する。

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取締役 カスタマーサービス部 部長
小坂省一さん

今回紹介したサービス品質の向上へつなげる取り組みのほか、幅広いユーザーがもっとスバル車に乗って楽しんでもらえるようにスバルカスタマイズショップ立川の立ち上げにも携わる。

「スバルはクルマ好きのお客様が多くいらっしゃいます。レースで得られた経験を各店舗内で共有してお互いが高め合い、よりよいサービスを行えば、それがお客様の満足やディーラーへの信頼につながっていく、そんな環境づくりを目指しています」。

〈文=湯目由明 写真=山内潤也/佐藤正巳〉

■問い合わせ先
東京スバル
TEL:0120-390-486
https://www.tokyo-subaru.co.jp

ドライバーWeb編集部

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