2023/10/30 ニュース

ピザ窯革命(かも!)水素で調理すると、なぜ美味しいのか?【ジャパンモビリティショー2023】

ピザ職人のシェフも「水素には期待しています」

10月28日から一般公開が始まったジャパンモビリティショー2023。近未来のモビリティ社会を体感できるイベントだが、ちょっと変わった展示物もあった。

それが今回ご紹介する「水素を使ったピザ窯」。トヨタ自動車とリンナイによって共同開発されたもので、今回のモビリティショーで初出展となる。

【画像】水素石窯を写真で見る

話を聞く前に、まず水素を使ったピザ窯で焼かれたピザを食す。すでに冷めたピザだったが、モチモチしていておいしい。次に焼き立てのほう。外はカリッと、中はジューシー!

水素は日本の将来を支えるエネルギーのひとつとして期待されている。クルマ業界でいえば、燃料電池車や水素エンジンの燃料として実際に活用されている。

とはいえ、まだそれはごく一部。水素インフラが少なすぎるのだ。でも、そのインフラを拡大するためにはモビリティだけではダメ。「水素でこんなことができる」という提案、その一例が今回のピザ窯だった。

水素で焼くこと、そのメリットは「スチーム効果」だ。調理時に燃料として水素を燃やしてもCO2を発生しないだけでなく、水蒸気を多く含んでいるためふっくら焼けるのだそう。水素を燃やすと空気中の窒素と反応してNOxも発生するが、それは基準値以下。問題ないという。

だから、例えば野菜を直火で焼くだけでもおいしい。食材の水分蒸発が抑えられて、野菜本来の旨味が味わえるのだ。ほかには、パンを焼くのにも最適。最近よく見かけるスチーム式のトースターのようなものだろうか。

水素は、モビリティを動かすためだけのものではない。いろいろな可能性を秘めているからこそ、これからどうやって使い、つまり需要をどう増やしていくか。人間、食べないと生きていけないわけで、その点で食に水素を活用するのは名案だと思う。

なお、モビリティショー期間中は、クロワッサンを提供。東京ビッグサイト西展示場「Tokyo Future Tour」の「Food」コーナーで味わえる。気になった方はぜひ足を運んでみてほしい。

〈水素石窯の基本仕様〉
■対象調理物:ピザ、焼き野菜、パン
■釜内部の温度:約450℃
■調理能力:18cm程度のピザ・5枚を同時に料理。調理時間(3〜5分程度、生地の厚さによる)
■水素火炎の特徴:水蒸気が多く含まれる(メタン比1.83倍 ※カロリー同等補正時)/ガス臭がない(シクロヘキセンなどの付臭剤が含まれない)
■安全仕様:水素は無臭(付臭していない)ため、水素検知器による常時管理を実施。また、立ち消え安全装置、過熱防止機能などの安全対策を実施

〈文=ドライバーWeb編集部 写真=長谷川 拓司〉

ドライバーWeb編集部

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