2023/10/16 新車 PR

スバル インプレッサ、この動的質感、主役級。

ハッチバックモデルに一本化された新型。先に出たクロストレックと違いはあるのか? これが想像よりも「!!」とにかく乗り心地がいいのだ。
 

想像を超えていた
 
新型インプレッサの出来栄えについては、サーキットで試したプロトタイプやひと足早くデビューした兄弟車クロストレックの好感触から、ほぼ間違いなしと踏んでいた。だが、公道で初試乗したST-H AWDは、その予想を上まわっていたのだ。
 
まず、スタイリングはあらためて対面しても好感触。SUVのプロテクター類で武装したクロストレックの派手さはないが、“あるべきものが付いていない”という寂しさはない。シンプルでありながら、フロントフェイスからリヤフェンダーまで躍動感が表現された、基本デザインのよさを感じさせる。本当の美男美女はスッピンでもイケるのだ。
 
走り出せば、とにかく上質な乗り心地に驚かされる。今回のフルモデルチェンジでは、クロストレックがSUVらしさを強めたのに対し、インプレッサはいっそうスポーティなキャラクターに差別化されている。だが、一般道や高速道路を普通に走るかぎり、ソフトタッチといってもいいサスペンションのフィーリングに、それをにわかには信じがたいという人がいても不思議ではない。
 
それくらい乗り心地がいい。足まわりはバネ下がじつによく動き、路面にフレキシブルに追従。凹凸による突き上げをしっかり吸収する。ボディの姿勢もフラット感が高い。乗員の頭部が前後に揺すられるピッチ方向ではなく、路面に対し平行にバウンスする好ましい動きに終始する。
 
路面の継ぎ目や損傷などの段差を乗り越えた際のショックもマイルドだ。最近は乗り心地のいい部類に入る車種でも段差には若干目をつむる傾向が見られるが、インプレッサはその点も抜かりない。
 
サスをソフトにしても乗り心地と挙動の安定性をハイレベルに両立できるのは、クロストレックより車高が低いメリット。タイヤが1サイズ小さく軽量なおかげでバネ下が軽くなり、また舗装路に特化したサマータイプである点も見逃せない。
 
車内の優れた静粛性は、クロストレックで定評のあるとおり。振動を抑えるシートの取り付け剛性強化、共振を抑制するルーフ部の高減衰マスチック採用など、細部にまで気を配った振動対策の成果だ。乗り心地のよさと静粛性の高さはインプレッサがさらに上で、クラストップレベルの動的質感が実現されている。
 
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乗ればわかる、その進化
 
動的質感を含む基本性能すべての基礎となっているのは、スバルグローバルプラットフォーム(SGP)にフルインナーフレーム構造をドッキングさせたボディだ。剛性を一段と高めたこの土台の下で、サスがしなやかにストロークする様子が手に取るように伝わる。
 
電動パワーステアリングも絶妙だ。クロストレックと同じく、リニアで洗練された操舵感の2ピニオン式。しかし、ギヤ比は切り込んでいくとクイックになる可変式ではなく、固定式が採用されている。ステアリングは中立付近の微小舵からハイレスポンス。街なかや高速道路の何気ないシーンでも、じつにキビキビと軽快なハンドリングを味わわせる。
 
eボクサーこと2Lハイブリッドユニットも洗練性を格段に高めている。エンジンの剛性強化でクランクのたわみによる加速時の振動が大幅に低減し、低回転ではEV走行との区別がつかないほど。そのEV走行もエンジン停止/再始動との連携がスムーズになり、従来のギクシャク感は霧消している。
 
走りを存分に楽しむなら、やはりワインディングだ。ペースを上げてもサスの柔軟性はそのまま。それでいて、ハイレスポンスなステアリングに対してもロールは初期から意外なほど少なく、フロントノーズはほぼ水平のままクイッと向きを変える。ボディの傾きを脚の筋力で抑えるというより、柔軟かつ強靱な股関節で無理なく受け止めるような感覚だ。ロールの収束もじつに素早い。
 
eボクサーはパワーバンドでもサウンドに濁りがなく、水平対向エンジンらしいシャープな吹き上がりを披露する。そして、DレンジでSモードを選択し、eアクティブシフトコントロールでコーナー立ち上がりの加速力を最大限引き出すもよし、Mレンジでパドルシフトのマニュアル操作を楽しむもよし。
 
ハンドリングはどこまでもニュートラルステアに近く、一体感あふれるリニアリティと安心のスタビリティを両立。さらに小気味いい旋回性を求めるならFFの選択肢(全グレードに設定)もある。
 
主役の座はクロストレックに譲ったが、オンロードの走りならやはり“餅は餅屋”。新型インプレッサはCセグメントの手ごろなスポーツハッチのなかで主役を張れる実力と魅力を備えているのだ。乗ればわかる。
 

心地よく、味わい深い走り
 
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洗練されたFB20型ボクサー 
先代ではクランクシャフトに微小なたわみが生じ、それが振動・ノイズの原因に。新型ではエンジンオイルアッパーの剛性強化やエンジンマウントの改良により振動を低減させている。
 
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タイヤは軽量化を実施
試乗車はダンロップのSPスポーツマックス050を装着。銘柄、タイヤサイズ(215/50R17)ともに先代モデルと同じだが、トレッドパターンを見直し。軽量化によるバネ下の追従性向上も狙っている。
 

飽きのこないインテリア
 
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インパネは11.6インチの縦型センターディスプレイを核とし、操作系をスッキリとまとめた。

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フロントシートは頭の揺れを抑える新開発品。シートレールもブラケットを介さずボディ直付けとし、剛性&振動吸収性を向上させた。ST-Hは運転席10ウエイ/助手席8ウエイ電動シートが標準だ。後席含めシートステッチがじつにふんだんで質感も十分。

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荷室容量はクラス平均の315Lを確保、開口部が広く思ったより使いやすい。また、リヤゲートと連動して点灯するLEDランプもST-Hに標準。暗い場所での積み下ろしなどに重宝する。
 
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アイサイトも進化。ステレオカメラの画角を拡大、ソフトウェアの改良と合わせてより広く・遠くまで認識可能となった。さらに広角の単眼カメラを追加して、低速走行時の二輪車/歩行者検知機能も追加した。アイサイトのツーリングアシスト(全車速追従クルーズコントロール&車線中央維持)は、車間の取り方やブレーキのタイミングが国内メーカーでもっとも自然。高速巡航時の運転疲労を大幅に低減してくれるから、ロングドライブがより楽しくなる。


■ST-H(4WD・7速CVT)主要諸元
[ ]内はST(FF・8速CVT)
【寸法・重量】
全長:4475mm
全幅:1780mm
全高:1515[1450]mm
ホイールベース:2670mm
トレッド:前1540mm/後1545mm
最低地上高:135[130]mm
車両重量:1580[1380]kg
 
【エンジン・性能】
型式:FB20
種類:水平対向4DOHC
ボア×ストローク:84.0mm×90.0mm
総排気量:1995cc
圧縮比:12.5
最高出力:107kW(145ps)/6000rpm[113kW(154ps)/6000rpm]
最大トルク:188Nm(19.2kgm)/4000rpm[193Nm(19.7kgm)/4000rpm]
使用燃料・タンク容量:レギュラー・48[50]L
 
【モーター・性能】
型式:MA1
種類:交流同期電動機
最高出力:10kW(13.6ps)
最大トルク:65Nm(6.6kgm)
バッテリー:リチウムイオン電池
WLTCモード燃費:16.0[14.0]km/L
最小回転半径:5.3m
乗車定員:5人
 
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後Vディスク
タイヤ:前後215/50R17[205/50R17]

【メーカー希望小売価格】
321万2000円[229万9000円]
 
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〈文=戸田治宏 写真=山内潤也〉

ドライバーWeb編集部