ミニバンらしいスペース効率と、SUV顔負けの走破性を併せ持つ唯一無二の存在。キャンプなどのアウトドアシーンで大活躍、乗るたびに「いいクルマだなぁ」と思わせてくれるのがデリカD:5だ。そんなよき相棒を自分好みにカスタムするべく、最新トレンドをお届け！ 手始めに、外遊びでもしてみましょうか。
ほかのミニバンとは違うのだよ テント、寝袋、ランタン、バーナー……。空前のブームにより新規ブランドの参入が相次ぐなかで、「老舗」と呼ばれるキャンプギアブランドのタイムレスなデザインと機能性の高さが再認識されている。趣味のアイテムとヒトを目的地まで運ぶモビリティも「伝統」のブランドが支持を集める。
1968（昭和43）年に初代「デリカコーチ」として産声を上げたデリカブランド。その後、本格クロカンのパジェロと同じメカニズムを持つ「デリカスターワゴン」、「デリカスペースギア」に進化して、80～90年代のRV（レクリエーショナルビークル）ブームをけん引してきた。
現行の5代目デリカD:5は2007年にデビュー。多人数乗車ができるミニバンの利便性と使い勝手のよさに加え、オンロードからオフロードまでどこへでも行ける頼もしさと信頼感……つまりオールラウンドSUVの要素を兼備した唯一無二のクルマとして、デリカブランドは不動の地位を築いている。
ほかのミニバンとは一線を画す悪路走破性の高さはデリカD:5の個性であり、ストロングポイント。それを支えるのが、リブボーンフレームを採用した堅ろうなボディ。これがボディ剛性や耐久性の向上、優れた安全性に大きく寄与している。
そして、アウトドアで強い武器になるのが、歴代デリカが継承してきた本格派のオフローダーに比肩する走破性能。
悪路走破性の目安となる対地障害角や最低地上高をたっぷり確保しながら、タイヤのグリップ力を最大限確保するAWC（オールホイールコントロール）思想に基づき、ブレーキとエンジン出力を制御して発進時の空転や横滑りを抑えるASC（アクティブスタビリティコントロール）と電子制御4WDを搭載。舗装路、ダート、雪道など路面状況に合わせて、シフトレバーの横に据えられたダイヤル式のドライブモードセレクターを操作するだけで優れた走行性能を発揮してくれる。
キャンプに行きたくなるクルマ ウインタースポーツやアウトドアレジャーなど、大自然との距離を近づけてくれるデリカD:5。特に2列目が6：4分割ベンチシートの8人乗り仕様は、乗車人数や荷物の量、大きさに応じてラゲッジスペースを調節したり、仮眠や車中泊時にはフラットモードにしたりと自由にアレンジが利くのでファミリーキャンプやペット旅にも最適なモデル。今回は、あらためてその使い勝手のよさをデイキャンプで試してみた。
メンバーは最近キャンプにハマったオヤジ3人衆。サードシートを跳ね上げてタープやイス、調理器具など、各自が持ち寄ったお気に入りのキャンプギアを荷室に積み込む。3列目シートを跳ね上げたスペースに、アウトドアワゴンがそのまま収まる荷室長がうれしい。もっと荷物を積みたいなら、2列目シートの片側をチップアップ＆スライドするだけ。さらに荷室長を稼げ、長尺のテントやロングボードが余裕で積める。
そんなミニバン的な使い方に加えて、デリカD:5は走行性能の高さも魅力。高速巡航が得意な2.2Lディーゼルターボ＆8速ATの合わせ技でロングドライブは至極快適。ボディ剛性の高さは乗り心地にも効いていて、多人数乗車でも快適性に不満はないだろう。全車速追従型のACC（アダプティブクルーズコントロール）をセットすれば、ダラダラ渋滞にハマっても疲れ知らずだ。
そして、もうひとつの楽しみ方がカスタマイズ。アルミホイール、タイヤ、積載性を高めるルーフラック、荷室のユーティリティなど、オンリーワンの頼れる相棒に仕立てられるのも、デリカD:5の醍醐味である。
骨太なのが自慢！ Ａ／Ｂ／Ｃピラーとテールゲート開口部の4カ所に閉断面構造のピラー、ルーフボウ、フロアクロスメンバーなどから構成された環状骨格構造「リブボーンフレーム」を採用。
ワイドな水平基調のインパネは、走行時に車体姿勢をつかみやすくする工夫。本格SUVで用いられるデザイン手法だ。ステッチをあしらったソフトパッドも質感十分。
シフトノブ横に配置されたダイヤル式のドライブモードセレクターは、燃費優先の2WD、高速道路やウエット路面に適した4WDオート、深雪やラフロードで威力を発揮する4WDロックと３つの走行モードが選べる。
シート地にはエンボス加工を施して力強さと躍動感を表現。2列目シートは8人乗りが6：4分割のベンチタイプ、7人乗りがキャプテンタイプ。キャンプやアウトドアユースを重視するならシートアレンジが多彩な8人乗りをチョイスしたい。
2.2Lディーゼルターボエンジンは、2019年の大幅改良時に構成部品の約半数を改良。新開発の8速ATと組み合わせ、燃費も動力性能も大幅アップ。アクセル操作に対する車体の動きが素直になり、ドライバビリティも向上している。
デリカと一緒にどこへでも！ 
キャンプ取材が大好物の3人（左から営業・柴田、ライター湯目、編集部・柿崎）が集まって話すのは……日本の未来について（ウソ）。キャンプって、いいもんですね。
荷室も広くて頼もしい キャンプギアをテントサイトまで運ぶのに車輪付きのワゴンは便利だが、じつは荷物にもなる。その点デリカD:5は、3列目を左右に跳ね上げればそのワゴンを展開して荷物を積んだまま積載可能。ミニバンならではの使い勝手がアウトドアシーンで重宝する。
高剛性ボディとストローク感のある足まわりは、オンロードでも快適。路面の段差やジョイントなどを軽くいなしてくれる。
■デリカD:5 Ｐ〈8人乗り〉（4WD・8速AT）主要諸元【寸法・重量】全長：4800mm
全幅：1795mm
全高：1875mm
ホイールベース：2850mm
トレッド：前1540mm／後1535mm
最低地上高：185mm
室内長：2980mm
室内幅：1505mm
室内高：1310mm
車両重量：1980mm
乗車定員：8人
【エンジン・性能】種類：直4DOHCディーゼルターボ
総排気量：2267cc
最高出力：107kW（145ps）／3500rpm
最大トルク：380Nm（38.7kgm）／2000rpm
使用燃料・タンク容量：軽油・64L
WLTCモード燃費：12.6km/L
最小回転半径：5.6ｍ
【諸装置】サスペンション：前ストラット／後マルチリンク
ブレーキ：前Ｖディスク／後ディスク
タイヤ：225/55R18
【価格】447万5900円
〈文＝湯目由明 写真＝山内潤也〉
