2023/03/27 新車

車中泊に最適!日産自動車の新型セレナ用マルチベッドは社外品とどう違う?

新型セレナといえばe-POWER車の発売をこの春に控え、注目度が高まっているモデルのひとつだが、日産自動車の車をベースに特装車を手がける「日産モータースポーツ&カスタマイズ」がリリースしているのが「セレナマルチベッド」。

普段使いも、車中泊も、ペット旅にもマルチに使えて、しかもゆったり快適に寝られるという車中泊モデルだ。サードパーティの車種専用モデルとはどう違うのか? その魅力に迫る。



セレナ外観

日産セレナは1991年にデビュー。「BIG、EASY、FUN」のコンセプトを掲げ、室内空間の広さや利便性が支持された。その後のモデルもコンセプトはそのままに、時代とともに変化するユーザーニーズを取り入れ「家族のためのミニバン」として進化し続けてきた。

昨年フルモデルチェンジした新型セレナはe-POWERが第2世代に進化し、加速性能と静粛性が大幅に向上。さらに、車体の揺れが体に伝わるのを抑える1、2列目のシート形状や、横風によるふらつきを抑える車体構造など、徹底した「クルマ酔い対策」を講じることで、ロングドライブがより快適になった。

ロングドライブ性能+オリジナルマルチベッドシステム=新型セレナで無限に遊べる

新型セレナのロングドライブ性能が活きるシーンといえばどんな時か?

例えば名所旧跡や全国に約1200駅ある道の駅、日帰り温泉巡り、御朱印集めをしながらのクルマ旅、アウトドア、マリンスポーツ、釣り、自転車、登山といった遊びや趣味への活用、ペット同伴の旅行など、軽くあげるだけでもきりがない。

そんなセレナをもっと快適にし、行動範囲を広げてくれるモデルが、セレナをベースにオリジナルのマルチベッドシステムを搭載した日産モータースポーツ&カスタマイズのファクトリーカスタムカー、セレナマルチベッドだ。

セレナマルチベッド展開時
●ベッドサイズは長さ2120mm×幅1320mm、許容荷重は150kg。マットの下に見えているポールがあらかじめ取り付けられた後ろ側のベッドフレームだ

ベッドマットのオグショーのタグ
●架装されるパーツはトランポの名門オグショーが手がける。ベッドマットにはオグショーのタグが

セレナマルチベッドの設定グレードはガソリン車のAUTECH、XV、ハイウェイスターVの2WDと4WD、e-POWER車のAUTECH、XV、ハイウェイスターV。サードシートを外したスペースに後ろ側のベッドフレームを取り付けるために、乗車定員はガソリン車とe-POWER車のXVとハイウェイスターVが5人乗り、e-POWER車のAUTECHが4人乗りになり、構造変更を行っている。

「置くだけ」簡単、マルチベッド設置術

セレナマルチベッドのベッドメイクはとても簡単。フロントシートとセカンドシートを前方にスライドさせて、セカンドシートの背もたれを後ろに倒したら、2分割の前側ベッドフレームを組み立てて、Bピラーに設けられたU字キャッチに前側フレームのステーを引っ掛ける。

セレナマルチベッド展開方法1
●後ろ側のベッドフレームは取り付け済みなので、自分でフレームを設置するのは前側だけでオーケー

あとはバックドア側から順番に4枚のベッドマットをフレームの上に「置くだけ」で、セミダブルサイズを超える長さ2120mm×幅1320mm、許容荷重150kgのフラットなベッドが完成する。

セレナマルチベッド前側ベッド設置
●片側だけベッドマットを乗せたところ。すっぽりはまってくれるので気持ちいい

前側ベッドフレームは2分割になっていて、専用収納袋に入れてラゲッジアンダーボックスに保管できる。


セレナマルチベッドフレーム収納袋
●専用の収納袋にもオグショーのタグ入り

セレナマルチベッドフレーム収納
●ラゲッジに収納できて効率的

左右に跳ね上げて収納するサードシートの台座部分に後ろ側マットを置くためのベッドフレームを架装。ボルトオンで装着するベッドキットには真似のできない頑丈な作り。フレーム上面にマットのズレを防ぐ面ファスナーが備わる。

セレナマルチベッド後部フレーム
●後部フレームはあらかじめ取り付け済み。サードシートを取り外し、その台座部分を使用

車検もオーケー 全国の日産ディーラーで買える車中泊車

通販サイトで購入できるサードパーティの車種専用ベッドキットと、セレナマルチベッドの大きな違いは、カスタムカーをはじめ福祉車両のライフケアビークル、商用車など数多くの特装車を手がけているオーテック事業部が企画・開発を行い、1ボックス車をベースにバイクや自転車、趣味のギアを積載するトランスポーターや車中泊モデル、キャンピングカーを製作する1991年創業の老舗コーチビルダー、オグショーが静岡県・浜松市の自社工場でベッドマットの縫製からベッドフレームの架装まで一貫して行うこと。前述した乗車定員の変更にともなう構造変更も施した状態で、自動車メーカー謹製のファクトリーカスタムカーとして全国の日産販売店で購入できる。

ベッドキットは手軽に取り付けられる反面、ミニバンなど乗用車は車検時にフレームを外してマットも降ろしてすべてのシートを着座できる状態に「原状復帰」させる必要があり、さらにシートを外して取り付ける場合は車検証に記載されている乗車定員や車両重量が変わるために、構造変更を行わなければ車検に通らない。その点、マルチベッドなら車検も問題なく安心・安全に車中泊を楽しめるのだ。

基準車の構造を熟知したオーテック事業部だけに、ユーティリティや収納、シートアレンジなどセレナの使い勝手のよさを損なわない作り込みもマルチベッドのセールスポイント。マルチベッドを展開した状態でサードシート用助手席側オートスライドスイッチや側面に備わるカップホルダーとUSB電源ソケット、フロントシート背面に備わるセカンドシート用パーソナルテーブルが使える。ベッドに寝転んだ状態でこれらの装備に手が届くのでとても使い勝手がよく、例えばコンパクトなローテーブルを持ち込んでリモートワークをしたり、食事をしたりとさまざまな使い方に対応できる。

また、e-POWER車にメーカーオプション設定されている100V・1500WのAC電源を加えれば、電子レンジや湯沸かし、電気毛布などの家電製品が使えて、万が一の際には非常用電源にもなるので、マルチベッドが「防災シェルター」としても機能する。

セレナマルチベッドAC電源
●USB電源もうれしいが、AC電源があると使える電化製品の幅がぐっと広がる

セレナマルチベッドベッド取り外し
●ベッドマットを取り外した状態。リヤタイヤハウスの部分に頑丈な後ろ側マット用のベッドフレームが備わり、ラゲッジ全面に傷に強くタフに使えて水ぬれや泥汚れの清掃が楽な硬質塩ビマット貼りの木目調フロアパネルを敷き詰めた

セレナマルチベッドラゲッジフロア
●パネルの端をゴム製のエンドモールで縁取ることで、内装トリムとのフィッティングを高めている。基準車に標準装備されている壁面のラゲッジフックが使えるようにパネルの高さが設計されている

ベッドマットは寝心地のよさと高い耐久性を両立する、ウレタンと合板を重ね合わせた4層構造で厚さは60mm。ベッドマットの生地はベース車のシートに合わせてコーディネートしていて、XV/ハイウェイスターは防水シート、AUTECHはさらにブルーステッチをあしらった仕様となっている。シート地とベッドマットの統一感もファクトリーカスタムならではの魅力だ。

ちなみに防水シート(ネオソフィール)は基準車の場合、MMCオーテック扱いメーカーオプションとなるが、セレナマルチベッドには標準装備。水にぬれても染み込まないのでウインタースポーツやアウトドアなどのアクティブな使い方やペット旅にぴったり。

ベッドマットの収納方法は後ろ側のベッドマットの上に前側のマット2枚を重ねて、付属のベルトで固定するだけ。床面からベッドマットまでのクリアランスは430mm、床面長は935mmで、市販のカーゴボックスや長物も余裕で入る。

セレナマルチベッド収納時
●この状態でラゲッジフロア部分の間口はヨコ1170mm、フロアからマットまでの高さが430mm、奥行きが935mmある

ミドルクラスミニバンでは唯一、取りまわしのいい5ナンバーサイズを堅持(ハイウェイスターとAUTECHは3ナンバー)し、「寝る・積む・憩う」とマルチに使えるメーカー純正の車中泊仕様、セレナマルチベッドが家族や仲間と過ごす楽しい時間を豊かにする。

<文=湯目由明 写真=安田 剛>

■問い合わせ先
日産モータースポーツ&カスタマイズ
TEL:0120-116-527
(受付時間10:00~18:00)
https://www.autech.jp/nightInCar/

ドライバーweb編集部

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