2022/06/01 コラム

駐車違反で出頭したら明らかに損!なのに…富山の巡査が家族を身代わりに出頭させた、なぜ?

駐車違反での出頭は損=意外に知られていない?



■明らかに損なのに…地方によって出頭率が異なる不思議

ところで、くり返すけれども、確認標章を貼られて出頭したら絶対に損だ。しかし、出頭してしまう人がいる。その割合はどれぐらいだと思う? これ、クイズ番組のネタにいいかも。

確認標章の貼りつけ件数(道交法的には取付件数)と、そのうち違反切符を切ることになった件数(同じく反則告知件数)の、都道府県別のデータが、この制度が始まった2006年6月1日分から、私の手元にある。情報公開法を利用し、手数料を払って開示請求し続けてきたのだ。

2021年の確認標章の取付件数は全国で91万2603件。そのうち反則告知は16万4968件、18.1%だ。2割近い人が、出頭しなくていいのにわざわざ出頭して、損をしているんだね。富山県は取付が1691件で反則告知が331件、19.6%。全国平均より少し高い。

ちなみにこの反則告知率、言い換えれば出頭率は、地方によってばらつきが激しい。出頭率が高いほうと低いほうを少しピックアップしてみよう。

1位 秋田県 46.2% 取付:286件 反則告知:132件
2位 鳥取県 39.7% 取付:413件 反則告知:164件
3位 島根県 39.5% 取付:408件 反則告知:161件

45位 高知県 5.2% 取付:2441件 反則告知:127件
46位 福島県 4.2% 取付:4076件 反則告知:173件
47位 山形県 4.0% 取付:1258件 反則告知:50件

どうです、激しいばらつきでしょ。取付件数が多いと、確認標章のカラクリがクチコミで伝わり、出頭率が減るのか? いや、そうとは言えない。たとえば…。

東京都 13.0% 取付:26万2087件 反則告知:3万4064件
大阪府 13.8% 取付:12万2369件 反則告知:1万6911件

東京と大阪なんか出頭率は0.1%でもよさそうなのに、割合的にも人数的にも高知や福島、山形よりずっと多い。いったいどうなっているのか。

これは私の想像だけど、無知で出頭してきた人に対し、さくさく違反切符を切ってしまう方針の警察と、それは可哀想だと考え「お爺ちゃん、待ってれば違反金の納付書が送られてきますから」とにっこり帰してしまう方針の警察と、2タイプがあったりするんじゃないか…。

ま、今回はそんなところで。確認標章の取付は、個々の違反の迷惑性とかには関係なく、法令的に違反の状態なら直ちに行われる。ご注意ください。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を好評発行中。

ドライバーWeb編集部

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