市販車に近いマシンで競われるスーパー耐久、通称S耐。ST-2クラスでは、WRX STIが驚異の7連覇を達成した。その強さの秘密はどこにあるのか? 現場の声を聞いた!
スーパー耐久シリーズの2000〜3500ccの4WDとFF車両で争われるST-2クラスにおいて、トーワインテックレーシングが前人未到の7連覇を達成した。その歴史は、絶えず強力なライバルを相手に、激戦の連続。けっして一方的な展開だったわけではなく、インプレッサで初戴冠のシーズンから、最終戦でようやく決着をつけてきた。
強いチームという印象が強いが、「最初のころは、予選落ちもするような弱小チームでした」と語るのは、エースドライバーの大澤 学選手。原点はそのとおりだったかもしれないが、戦いを重ねるごと力を増していったのは紛れもない事実である。
「今はチームを離れた、偉大な先輩たちにベースを作ってもらって、今いるドライバーだけでなく、メカニックみんながプロフェッショナルな仕事をしてくれる。それと壊れないで速く走れるクルマを作ってくれた、というのが大きいと思うんです。やっぱりスバル車のメリットは、耐久性と速さを両立しているところ。一発の速さではライバルに負けてしまうところもあるんですが、決勝のラップとかトラブルの少なさで言えば、断然うちが有利だと思っています」と大澤選手は語る。
その強さを支える要因のひとつが、DAMDのエアロパーツだ。
「WRXを最初に作ったとき、熱に悩まされていたんです。水温が厳しかったんですが、DAMDさんがちゃんと迅速に対応してくれて、クーリングやダウンフォースの向上によって現在の安定感に結びついているんだと思います」と大澤選手。
2019年のトーワインテックレーシングだが、6戦2勝と勝率ではいまひとつ。しかし、第2戦のリタイヤ以外は持ち前の強さ、しぶとさで表彰台に上がり続け、冒頭で触れたように7回目の王座を獲得した。
「開幕戦で勝って、でもSUGOで今までにないトラブル(ホイールの破損)が出たので、取りこぼしちゃったんですけど、富士24時間で勝ったことで挽回できました。その富士から流れが戻ってきて」と大澤選手。そして最終戦でチャンピオンを決めた直後には「ホッとしました」が第一声。「慣れっこになったわけじゃないんですが、いつもこんな感じなんです」と苦笑いするのは、まだまだ進化したいという思いの表れなのだろう。さらに続いていく挑戦、今後のより一層の活躍に期待したい。
〈文=秦 直之〉
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