2024/07/27 旧車

スポーティな3ドアクーペ・スペシャルティカー、日産 180SXとは?[driver 1989年4-20号より]

180SX

自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。今回は1989年4-20号の「日産 180SX」を振り返る。

◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇

スペシャルティカーで人気ナンバーワンの座を占めているシルビアの姉妹車が出た。3ドアクーペのボディにCA18DET型ツインカムターボを搭載した180SXだ。日産は「シルビアよりスポーティ」だと位置付けている。

■流麗なクーペフォルム

3月15日に発表された180SXは、昨年5月にデビューしたシルビアとシャシーを共用する、いわば、シルビアの3ドアクーペモデル。

車種構成は、TYPEⅠ、TYPEⅡの2本立て。外観はリトラクタブルヘッドライト、ハッチゲートを持ち、シルビアよりもさらにスポーティなスタイルに仕上げられている。その“顔”は、もともと北米仕様の240SXや欧州仕様の200SXと同一である。

ノーズからフロントフェンダー上面とウエストラインは、緩やかなカーブを描く「エアロストリームライン」。スムーズな空気の流れを表すネーミングが与えられている。

キャビンは「ラウンド・グラス・キャビン」と命名された。グリーンハウスは3次曲面ガラスで構成されており、上部から見ると卵形を描く。リヤピラーとセンターピラー部はガラスで覆われている。フロントウインドー、バックドアウインドーは接着ガラスを採用。コンシールドタイプのリヤピラーやドアパネル、それに面一化されたドアハンドルなど、各部のフラッシュサーフェス化が徹底されている。


●キャビン部は、緩やかなカーブを描いた3次曲面ガラスで構成。日産では「ラウンド・グラス・キャビン」と呼ぶ

その結果、180SXのスタイリングも含めて空力特性は大幅に向上、シルビアの空力特性CD=0.33に対し、0.30(TYPEⅡにオプションのフロント、リヤスポイラー付きの状態)をマーク。数ある日産車のなかでも、最高の数値を実現している。

リヤスタイルは、リヤのフェンダーからエンドにかけて大きなカーブを描く「ラップラウンドテール」デザインを採用。バックドアのセンター部には、ハイマウントストップランプが組み込まれている。また、TYPEⅡにはリヤフォグランプがオプションで用意される。霧や雪などの悪天候時に、後方からの視認性を向上させる新装備だ。


●曲面構成の美しいリヤスタイルが印象的。空気抵抗係数値は、スポイラー付きの状態で0.30

180SXのボディカラーは、シルビアに追加されたスーパーブラックをはじめ、ダークグレーメタリック、ベルベットブルーパール、クランベリーレッドパール、ブルーイッシュシルバーメタリック、ウォームホワイトと全6色。シルビアのような2トーンカラーは用意されず、全色モノトーン構成は、塗膜表面の平滑性を向上させる鮮映性鋼板の採用とともに、180SXの面の美しさを引き立たせている。

■CA18DETのみを搭載!

エンジンは、シルビアK’sに搭載されるCA18DET型ツインカムターボを、TYPEⅠ、TYPEⅡともに搭載する。

最高出力は175㎰/6400rpm、最大トルクは23.0㎏m/4000 rpmの性能。車重はシルビアK’sよりも50㎏増した1170㎏(TYPEⅠ、Ⅱとも)であるものの、K’s同様の高いポテンシャルが期待される。ちなみにK’sの5速MTは、0→200/400mを9.78/15.13秒(本誌定地テストデータ)という、トップクラスの加速性能を実現している。

サスペンションはフロントがストラット、リヤはマルチリンクの4輪独立。駆動方式はもちろんFRだ。

セッティングにあたっては、前後の荷重バランスがよく、操舵輪と駆動輪が独立している、FRのメリットを十分に生かしている。アクセルワークでクルマの挙動をコントロールできる楽しさは、FRならでは。FFが主流の1.8Lクラス以下のなかにあっては、シルビアとともに貴重な存在といえるだろう。

ブレーキは、前輪がベンチレーテッドディスク、後輪ディスクの組み合わせ。4WAS(4輪アンチスキッドブレーキ)は、TYPEⅠ、Ⅱともにオプションで用意される。

装着されるタイヤは、195/60R15・86Hラジアル。オプションのHICAS-Ⅱを選択すると、ポテンザRE71 195/60R15・86Hがセットで装着されてくる。

〈まとめ=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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