2023/05/31 ニュース

三菱ふそうと日野が2024年末までに経営統合。ダイムラートラックとトヨタが持株会社に同割合で出資

左から日野自動車の小木曽 聡代表取締役社長CEO、トヨタの佐藤恒治社長CEO、ダイムラートラックのマーティン・ダウムCEO、三菱ふそうトラック・バスのカール・デッペン代表取締役社長・CEO

ダイムラートラック、三菱ふそうトラック・バス、日野自動車およびトヨタは2023年5月30日、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化といったモビリティの変革を示す4領域のイニシャルをつないだ造語)技術開発の加速を目指すとともに、三菱ふそう・日野を経営統合する基本合意書を締結した。


●三菱ふそうの大型トラック「スーパーグレート」

●日野の大型トラック「プロフィア」

われわれの暮らしを支えている商用車は、社会インフラとして重要な役割を果たしている。そして、商用車はカーボンニュートラルや物流の効率化などの課題を抱えているが、それには多大な投資が必要となってくる。商用車は乗用車と比べると市場規模が小さく、世界全体の販売台数は年間300万台〜350万台程度。スケールメリットが出にくいために、1社で課題に立ち向かうのは難しい状況である。

そこで、競争力強化のため、ダイムラートラック傘下の三菱ふそうとトヨタの子会社である日野を対等な立場で統合。上場させる三菱ふそう・日野の持株会社を作り(ダイムラートラック、トヨタは同割合で出資)、三菱ふそう、日野は持株会社による100%出資の子会社となる。新会社の名称、所在地、体制、協業の範囲や内容については、協議のうえ、2024年3月期中の最終契約締結、2024年末までに統合完了を目標に進めるという。なお、三菱ふそう・日野は開発や調達、生産は一緒に行うが、2つのブランドは別個のブランドとして維持・発展させるとのことである。

ちなみに、今回の協業については、日本の商用車の未来だけではなく、モビリティ社会の未来を見据えたダイムラートラック、トヨタ共通の思いがある。大型トラックのカーボンニュートラル化を進めるにあたり、エネルギー源として水素を使う燃料電池が有望視されている。大型トラックを動かすには大きなエネルギーが必要で、バッテリーEVでは電池が重くなり、充電時間も長くなってしまう。ダイムラートラック、トヨタの2社は水素に対する知見も多く、両社が強みを発揮できる。その裏には、ゼロエミッション商用車でもリーダーであり続けたいダイムラートラックと日野の今後の処遇を意識したトヨタの思いが見え隠れしている。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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