2022/12/16 新車

新型セレナは5ナンバー車も継続! ライバルは3ナンバー車のみなのに…なぜ?

ライバルよりも幅が狭い新型セレナ

近年ミドルクラスミニバンは3ナンバーサイズのエアロ系は存在しながらも、長らく5ナンバーサイズのモデルも設定してきた。その流れに変化をもたらしたのが、2022年1月にデビューしたトヨタ ノア/ヴォクシー。全長は4695㎜と5ナンバーサイズだが、全車の全幅が1730㎜と3ナンバーサイズに拡大したのである。

さらに2022年5月にフルモデルチェンジしたステップワゴンでは、そのノア/ヴォクシーよりもさらに全幅が広い1750㎜へ。全長は標準系のエアーが4800㎜、スパーダ系は4830㎜とサイズアップした。室内空間のゆとりの創出のためには、ボディの拡大もやむなしという判断だった。

一方でセレナである。2022年11月下旬にフルモデルチェンジした新型は、X系、XV系グレードの全長が4690㎜、全幅1695㎜と5ナンバーサイズをキープ。上級のハイウェイスターV系とルキシオンはグリルと前後バンパーを専用にすることで全長4765㎜に、全幅はサイドシルスポイラーを装備することでプラス20㎜の1715㎜とした。

このように新型セレナだけが、5ナンバー車を継続して設定したわけである。いったいなぜ? 開発に携わった車両計画設計グループの光﨑翔平氏に伺った。

■5ナンバー車を残した理由

光﨑:開発当初にだいぶ議論がありました。3ナンバー車に全車統合するのか、5ナンバー車を残すのかというところですね。3ナンバー車にするひとつの目的としては、広い室内空間を提供できるのではないかというような思いがありました。開発メンバーで、いろいろと試作品を作って確認したのですが、3ナンバー車にすることによって得られる広さ感というよりも、3ナンバーにすることによるネガティブなイメージ、例えばクルマが大きいのではないかというような感じをお客様に与えてしまう恐れがありました。

あとはお客様に対して安心感を与える5ナンバーサイズ、ノートと同じなんですよということをお伝えして、コンパクトカーや軽自動車から乗り替えていただく際にも安心感をもっていただける。ということで3ナンバー1本ではなく、5ナンバーと3ナンバーを両方ラインアップするというような形で当初から進めてまいりました。

また、商品企画部の前田恭志氏は「3ナンバーと5ナンバーサイズでは、実際に税金などは変わらないんですけれども、お客様の印象では5ナンバーだとコンパクト、という印象が強い。なのでこだわりを持って残しました。全幅に関しては、実際は片側10㎜で合計20㎜の違いなのでほとんど変わらないかもしれないのですが、『5ナンバーって小まわりがきくね』というイメージも強い。あえて5ナンバーサイズ車を残しているということですね」と語っている。

新型セレナは、モデルチェンジでライバル同様に3ナンバーサイズになると思われていただけに、5ナンバー車の継続設定は意外であった。ユーザーの気持ちをキャッチアップした日産の戦略なのである。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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