2020/09/04 コラム

なぜレースはアウトドアでも無観客開催? 東京ドームだって観客入れてるのに・・・|木下隆之の初耳・地獄耳|

サーキットって開放的だと思うのだけれども


「日本のレースも開幕しましたね。でもなぜ、無観客レースなんですか?」
マスクで口元を覆い隠している担当Kがそう口にした。

「政府の進言に従って、無観客で開催しておる。コロナ拡散への配慮だ」
「でもですね、レースって環境的には危険度は低いですよね」
「どこがだ?」
「サーキットって、アウトドアですよね。屋内の東京ドームでも観客を入れているのに、開放感のあるサーキットで無観客って、不自然じゃないですか?」


●木下隆之も、サーキットではマスクを欠かさない

徹底的な感染対策。検温・問診報告が年末まで強制!


担当Kの言うとおりである。サーキットは地方の緑豊かな場所にある。広大に敷地に恵まれている。富士スピードウエイや鈴鹿サーキットなどは、10万人以上の観客が集められる。そこに数万人を集めてもソーシャルディスタンスを保てる。だと言うのに、無観客なのだ。担当Kの思いも理解できるのである。

「10万人も集まるんですか?」
「残念ながら、日本でもっとも人気のあるスーパーGTでも、5万人ほどだ」
「だったら全面開放しても安心ですよね」
「でもね。我々レース関係者は、特に慎重になっているのだ。万が一誰かが陽性反応になったら悲劇だからな」
「対策はしているんですか?」
「我々関係者は、毎朝検温と問診で報告している。これが年末まで強制されているのだぞ」
「それは徹底していますね」

しかも、サーキットへの移動は、少人数ですることになっている。さらに言えば、もし陽性反応が出たら、そのクルマに同乗しているメンバーすべてがサーキットインできないルールなのだ。だから基本的には個人での移動を徹底している。少なくともドライバーは別々に乗り合わせている。1人が陽性になっても、もう1人は走れるようにだ。
「万全ですね」

レースウイークの食事も、基本的に同席しない。みんなホテルで部屋飯していると言う徹底ぶりだ。そもそもサーキットには公共交通手段で来る人は少ないと言うのにね。レース界は慎重なのである。

ちなみに、レーススタッフも人数制限されている。キャンギャルもいない。スポンサーですら入場禁止だ。チーム間の横移動も制限されている。仲間のピットにも踏み込めないのである。

「今年はそれで乗り切るつもりだけれど、来年が心配だよね」
「終息しますよね」
「それはわからないけれど、そう願っている」

〈文=木下隆之〉

ドライバーWeb編集部

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