2022/12/08 カー用品

氷に強く、雪をつかむ。北欧の新作スタッドレスタイヤ|NOKIAN TYRES HAKKAPELIITTA R5|

まだなじみがないかもしれないノキアンタイヤ。北欧フィンランドが開発拠点の同社は、1934年に世界で初めてウインタータイヤを市場投入したことで知られる。そんな老舗の最新スタッドレスタイヤを、極寒の北海道で試した!
 
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氷上性能に力を入れてきた
 
世界で初めてウインタータイヤを作ったことで知られるノキアンタイヤ。そんな老舗のタイヤメーカーが、新型スタッドレスタイヤ「ハッカペリッタR5」シリーズを開発。ついに日本市場に上陸した。
 
方向性のV字パターンは従来モデル「R3」と同じように見えるが、溝を狭めることで、トレッドブロックの数は40%増加。接地面積も4%、サイプの量も10%増えている。
 
トレッドデザインを整理整頓し、排水性・排雪性を犠牲にすることなくブロック数と接地面積を増やしており、明らかに氷上性能の比重を高めたデザインであるのが見て取れる。加えて、静粛性の高さと転がり抵抗の少なさもR5の特徴である。
 
R5で興味深い部分は、トレッドデザインは共通のまま、乗用車用、SUV用、EV用の3種類を用意したこと。もちろんコンパウンドやケースはそれぞれ専用設計が施されている。
 
さて今回、北海道のテストコースで乗用車用のR5とSUV用のR5 SUVに試乗することができたのでレポートしたいと思う。
 
氷雪上でひととおり試して感じたのは、運転のしやすさだ。不安感がなく安心して走れる。その要因はどこにあるのか細かく観察していくと、絶対的なグリップ性能のよさはもちろんだが、応答性、そして手応えのよさが浮かび上がってくる。
 
滑りやすく、先の路面がどうなっているのかも予想しにくい雪上路では、ステアリングを切り出した瞬間のタイヤの応答がとても重要だ。R5は微小舵領域の応答性が優れ、ハンドルを切った量に応じてノーズが反応してくれる。手応えも十分なので、グリップしている様子を感じながら自然に必要な分だけステアリングを切ることができる。その結果、最小限の操舵でスイスイとクルマを走らせることができた。
 
氷も雪も両立
 
細めになった溝が排雪性の面でネガティブに働くのではないかと危惧していたのだが、予想以上に排雪性がよく、トレッド面全体で圧雪路面を踏みしめている感触がある。感覚的にはR3に匹敵する排雪性を備えながら、路面を捉える感触も明瞭。この感覚が安心感につながっているのだと思う。
 
氷上性能は数段レベルアップ。まず絶対的なグリップ性能がよくなっている。シリカを増した新コンパウンドのゴムの効果と、アークティック・グリップ・クリスタルと呼ばれるひっかき剤が効いているようだ。氷の路面を、タイヤのトレッドがちゃんとグリップしているのが感じ取れるくらいの引っかかり感、というか摩擦感が出ている。
 
ここでも応答性のよさが印象的。ステアリングを切るとほとんど滑りを感じることなくスッとノーズが向きを変え始めてくれるので、クルマの向きを変えやすい。氷上性能は感覚的にも大幅に進化したと感じた。
 
 


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●ハッカペリッタR5のシリーズ構成は、乗用車用のR5、SUVに適合するR5 SUV、そしてこのご時世を鑑みた電動車用のR5 EVの3種類だ



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NOKIAN TYRES
HAKKAPELIITTA R5
ノキアンタイヤ ハッカペリッタ アールファイブ
 
タイヤサイズ:175/65R14 82R〜275/35R20 102T XL
価格:オープン
 
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●残溝を確認できる工夫がトレッド面に。「8」は「残り溝8mm」の意味で新品時。8mmを下まわると「8」が消え……といった具合だ。「4」の横にある「雪」マークが消えると、スタッドレスタイヤとしては使用限界に達したことを意味する
 
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●サイドウォールには「220〜320(kPa)」とマークを配置。ここに愛車の空気圧を白いペンなどでマーキングしておけば、空気圧チェックのときにいちいち適正値を確認せずに済む。空気圧の適正化に役立つのだ
 

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「R3」と「R5」の違いは
●雪をつかみ、そしてリリースしてフレッシュな溝で新たに雪をつかみやすい方向性のあるV字パターンはそのまま
 
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●テスターはタイヤ師匠ことモータージャーナリスト斎藤 聡。従来モデルのハッカペリッタR3はもちろん、そのほかのノキアンタイヤ製品にも精通している
 

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SUVユーザーに最適!


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ハッカペリッタR5 SUV
タイヤサイズ:215/70R16 100R〜285/40R22 110T XL
価格:オープン

R5 SUVは、SUVならではの重量増に対応すべくコンパウンドを高剛性化。さらにサイドウォールにアラミド繊維を配合し、カットしにくく強化されているのも特徴だ。ブロック剛性が高いことによる操縦性のよさに加えて、R5同様に氷上性能も進化。ライトSUVならタイヤサイズとのマッチングも含めてR5、R5 SUVのどちらを選んでもよさそう。中重量級のSUVには、そのブロック剛性の高さがメリットになるR5 SUVとのマッチングがいい。
 

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EVや電動車の悩みを解決
 
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ハッカペリッタR5 EV
タイヤサイズ:235/45R18 98T XL〜275/35R21 103T XL
価格:オープン
 
車重が重く、さらにトルクが大きくタイヤへの負荷が大きいEVや電動車に適合させたR5 EV。専用コンパウンドに加えて、プロファイルも高トルク向けの強化型に。テスラ モデル3のAWD車で試したが、R5と何ら変わらない雪上でのグリップ感。氷上では試せていないが、感触としてはR5と同じ性能を得ているはず。静粛性も特筆すべきで、さらに転がり抵抗が少なく、日本のラベリングでAAに近い転がり感。航続距離が気になるEVにはピッタリだ。
 

〈文=斎藤 聡 写真=山内潤也〉

■問い合わせ先
阿部商会
https://abeshokai.jp/nokian/

ドライバーWeb編集部

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