2022/11/04 カー用品

【竹岡圭が試す】シティ派SUVにオススメ!ブリヂストンVRX3、SUV向けサイズ拡充

モータージャーナリスト竹岡圭がブリザックVRX3を試す



■シティ派SUVが大流行


「SUVじゃないと売れない!」なんていう言葉が、あちこちから聞こえてくるくらい、今や自動車業界のメインストリームは完全にSUVなんですよね。今までSUVを出すなんて想像がつかなかったメーカーまで続々と参入したり、ボディサイズにしても、小さいのから大きいのまでズラリと勢ぞろい。さらにカテゴリーを超えたクロスオーバーなるモデルまで! パワートレーンだって、ガソリン、ディーゼル、EV、FCV、HV、PHEVなどなどじつにさまざま……。まぁ、とにもかくにもSUVは大流行中なんです。

とはいえ、今でこそSUVという名称は世間に認識されていますが、ひと昔、いやふた昔くらい前まではまったく浸透しておらず。RVとかクロカンとかオフローダーとか呼ばれていたカテゴリーだったんですよね。実際そのころは、オフロードとかラフロードとか、さらには雪山を走る機会だって、もっともっと多かったと思います。


●コンパクトカーの代名詞、トヨタのヤリスだって「ヤリスクロス」が大人気に

ところが、今やシティ派SUVなんていう言葉もあるくらい。オフロードとかラフロードなんてまったく走らない、ほぼ街なかと高速道路しか走らないSUVもたくさん生息していると言いますか、むしろそちらの方が多いくらいになりました。つまりこれまでの、コンパクトカー、セダン、ワゴン、ミニバンが、小さいSUVとか、クロスオーバーSUVとか、3列シートSUVとかに置き換えられたと考えた方がわかりやすいのかもしれません。

そうなったらもう、クルマまわりのパーツメーカーとしては、ガラリと変革が必要になります。シティ派SUVが快適に過ごせるようなライフスタイルを考え、それに見合ったアイテムを揃える必要があります。

■街なかは路面がツルツル滑りやすい

その代表選手がタイヤです。ちなみに、タイヤなんてサイズさえ合えば、どんなものだって大丈夫と思っている方もまだまだいらっしゃるようですが、これ大きな間違い。SUVはいわゆる乗用車に比べると車重も重いし、重心も高いので、やはりSUVタイヤを履いた方がしっかり安定して安全に走れるのは言うまでもありません。これは、夏用タイヤでも冬用タイヤでも同じことですので、心に留めておいてくださいね。

前置きが長くなりましたが、今回はそのなかでもSUV向けの冬タイヤのお話。ブリヂストンでは、これまでもブリザックDM-V3というSUV向けのスタッドレスタイヤを、当然のようにラインアップしておりました。言うまでもなく、雪山でもどんと来い!というようなタイヤです。


●ブリヂストンのプレミアムスタッドレスタイヤ、ブリザックVRX3は氷上性能が先代比で20%向上(※) ※詳しくはBLIZZAK公式Webサイトへ

でもシティ派は「雪山にはさほど行かないのよね」とか「雪はたまにしか降らないものの、道路は凍結することがある場所に住んでるのよね」という方が多いわけでして、その場合もう少し違ったタイプのニーズがあるわけです。

「深雪路の走破力だって必要だけれど、どちらかと言えばそれよりも、氷上でのグリップ力や制動力を重視したい。さらには溶けかけた雪のシャーベット路にも強くて、とはいっても冬の乾いた路面や雨天に走ることの方が多いので、高速ドライ性能やウェット性能も欲しいし、どうせなら燃費性能もよくて、それに静粛性も高いとありがたいんだけど~」って、なんてワガママなんだ(笑)! というようなニーズがあるわけです。

でも、そんなワガママ聞いてられないよ!ではなく、そんな声にお応えしちゃうところがブリヂストンのすごいところなわけ。今回は氷に強いブリザックVRX3のSUVサイズ向けの拡充を図ったということです。

■氷に強い、そして長持ちになったブリザックVRX3

ちなみにVRX3は昨年リリースされたタイヤ。先代モデルとなるVRX2に比べて進化したポイントがたくさんありますので、いくつか的を絞ってご紹介します。

まず吸水力が高まりました。氷が滑るのは、タイヤの下の氷が瞬間的に溶け、氷とタイヤの間に水膜ができるからでして、ようは瞬間的にハイドロプレーニング現象が起きているようなものだと考えていただくとわかりやすいと思います。だとしたら、この水膜を吸い取ってしまえば、滑りにくくなるということ。確かに冷凍庫から出したばかりの氷は乾いている、つまり水膜がないので、手で触ってもくっつくだけで滑りません。それと同じ考え方です。



そこで吸水力を上げるために、発泡ゴムの空隙の形状が進化しました。VRXシリーズには、ゴムの中にいくつもの細かな穴が仕掛けられているのですが、これまでは半球状だった穴を、細長い楕円形にして毛細管現象を使い、さらに多くの水を瞬間的に吸い込めるようにしたというわけなんですね。なんだか理科の実験を彷彿とさせますが、すごい性能なんですよ。

続いて、表面の水膜を除去する性能です。VRX2と同じくトレッド表面に微細な凸凹を施すことで、路面の水膜を効果的に除去できるようにし、VRX3ではさらにサイプの一部の端を貫通させないことで、サイプ内へ余計な水の侵入を抑制するようにしたんだそうです。つまり、まずは侵入させない、そして吸い込むことでグリップを確保しているというわけですね。


●トレッドパターンは一見シンプルに見えるが、氷にも雪にも強いのがブリザックVRX3の特徴

さらに、氷や雪を引っ掻く性能も上げられています。トレッドパターンのブロック形状を変え、向きに応じてサイプの角度を適正に配置することで、サイプのエッジ効果を増加させ氷雪上での力強いグリップを確保しながらブロック剛性の向上が図られているんです。また、ブロックサイズの均等化を図ることで、どこか局所的に接地圧が集中しないようにすることで、均一な接地を確保して滑りを低減しているんだそうです。

加えて、この性能を長持ちさせる工夫も施されています。ゴム部分に分子量の多い、ロングステイブルポリマーを配合することで、ゴムが硬くなるのを防ぎやわらかさを維持してくれるんだそうです。スタッドレスタイヤの寿命は使い方や保管の仕方にもよりますが、これまで溝は残っているけど、ゴムが硬くなって捨ててしまっていたユーザーにとっては、性能が長持ちすることで、より長く使えるタイヤかもしれません。


●アイススケートリンクでブリザックVRX3を試した。その模様は動画内で確認してほしい

今回、アイススケートリンクで実際にSUVにブリザックVRX3を装着して走らせてみましたが、そのグリップ感にはあらためて感激。しかも、速度を上げていったときの、滑り出しのわかりやすさや、そこからのリカバリーなどがほんとうに簡単。「滑りにくい」という絶対的な性能もそうですが、路面の状況をつぶさに伝えてくるので、ドライバーにとても優しいスタッドレスタイヤだなという印象です。

これまで、スタッドレスタイヤはウルサイし、燃費悪いし、なんて仰っていた皆さんも、いかがでしょうか? シティ派SUVにピッタリのスタッドレスタイヤだったら、安全装備のひとつとして装着してもよいのではと真剣に思っておりますので、ぜひ一度試してみてくださいね。突然の雪や冷え込みに慌てる前に、転ばぬ先の杖のお話でした。

〈文=竹岡 圭 写真=山内潤也〉

BLIZZAK VRX3の詳しい情報はこちら

ドライバーWeb編集部

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