2022/07/29 コラム

新型フェアレディZは、なぜ「Z35」を名乗らないのか。開発陣が明かした本当の理由

「Zは日産のDNAである」

■なぜ「Z35」ではなく「RZ34」なのか

新型フェアレディZのジャーナリスト向け試乗会が実施された。さまざまなメディアを通して、その模様をすでにご覧になった方も多いと思う。筆者も試乗したが、スポーツカーとして素晴らしい出来だった。試乗中、こみ上げるものがあって涙が出そうになったぐらい。

でも、引っ掛かりもある。はたして「新型」と呼んでいいのか。実際、車両型式は先代の「Z34」から「RZ34」に改められてはいる。でも、「Z35」ではないのだ。

この、「RZ34」という型式について、GT-RとZのブランドアンバサダーを務める田村宏志氏に直撃した。日産スポーツカーのことなら「この人に聞け」という人物である。


●「この人がいなかったら今度のZは無理だった…」と開発陣が語るキーマン、田村宏志氏

「その話は、川口から…」とは田村氏。「川口」とは、田村氏の後を継ぐ、つまりこれからの日産スポーツカーの開発を牽引していく川口隆志氏のことである。


●田村氏の後を継ぐ、川口隆志氏。新型Z開発における、もうひとりのキーマンだ

「型式を変えなければ、車外騒音規制などをクリアしなくてもいい、だから今回のZは『Z34』を継承するんだ、なんて話も見聞きしましたが」と川口氏に向けると、

「型式を変える変えない、にはあまり重きをおいていませんでした、正直なところ。型式を変えたらさまざまな規制を新たにクリアしなければならない、とか言われますが、国によっては型式を変えなくても規制をクリアしなければならないところもある。また、今年9月から日本でも始まる車外騒音規制にも当然、適合していますので、『車外騒音規制をクリアしたくなかったからZ34を引き継いだ』ということはありません」。

※スカイラインのハイブリッドモデル、フーガ、シーマなどは9月から始まる車外騒音規制に適合させず生産終了を迎える

川口氏は続けて、「Z34を継承する流れを最初に作ったのは、じつは社内的な要因が大きいです。なんとしても新しいZを世の中に出したい、なんとしてもこのクルマを開発したい。そのために、このクルマの企画をマイナーチェンジイベントとしてスタートさせました。企画が通らなくなることだけは避けたかった、という経緯があります。ですので、法規から逃げようとしたわけではありません」

「ただ、そのまま『Z34』にしてしまうと、モデルネームが一緒になってしまうので、今回は『RZ34』という型式を付けたのです」(以上、川口氏)

ちなみに「RZ34」の「R」は、リファインを意味する。

ここで田村氏。「タイム(速さ)は大事だと思うけど、あまりタイムにこだわらないのと一緒の思想です。型式を変えたからといって、儲かるわけじゃないしという発想。お客さまのなかには、(Z35のほうが)喜ぶ人もいるかもしれませんが。型式よりも、やっぱりカッコよくないと買ってもらえないと思うんです。型式を変えたからカッコよくなるわけでもない」

ドライバーWeb編集部

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