2022/07/25 コラム

中国BYDが「3台のBEV」を日本の乗用車市場に導入…全国に100店舗の販売ネットワークを整備する計画も

3台のBEVと、左の人物はビーワイディージャパン株式会社 代表取締役 劉 学亮氏、右はビーワイディーオートジャパン株式会社 代表取締役 東福寺厚樹氏

■日本市場にもEVの選択肢を

2022年7月21日、中国の新興自動車メーカーであるBYD(比亜迪汽車)の日本法人であるビーワイディージャパンは、都内で日本の乗用車市場への参入を発表した。

【画像】2023年に導入されるBYDの3台

BYDは、1995年に中国広東省深圳市に設立された携帯電話部品などITエレクトロニクスや自動車、ソーラーパネルなどの新エネルギー、都市モビリティといった領域でグローバルに事業を展開するBYDグループ(比亜迪股份有限公司)の自動車部門。2003年の西安泰川自動車の倒産に伴い、BYDグループが買収して設立された会社である。

BYDは、2008年に世界初の量産PHEV(プラグインハイブリッド車)を発売するなど、早くから電動化モデルの開発・生産に着手し、バスやトラックのBEV(バッテリー式電気自動車)も生産。2021年には中国で約60万4000台のNEV(新エネルギー車=BEVやPHEV、燃料電池車の中国における総称)を販売し、2021年1〜6月には前年同期の3倍を超える約64万台を販売。9年連続でNEV販売台数で首位に立っている。

中国市場の外では、なかなか見ることができない中国車だが、BYDはすでにシンガポールやオーストラリア、ニュージーランド、ブラジル、コスタリカ、コロンビアにも進出。ヨーロッパ市場も、2020年にノルウェーで販売を開始。つい先日もオランダ市場への参入を発表し、着々と市場を拡大している。

日本法人のビーワイディージャパンは、2005年に設立され、これまでにEVバスやEVフォークリフトなどを販売。2015年に京都市内の路線バスから導入したEVバスは、国内シェアの約7割に上っている。

乗用車も、2021年2月にミニバンタイプのBEVである「M3e」が2台、2022年3月に同じくミニバンタイプのBEVである「e6」というモデルが2台、京都の都タクシーに導入された実績があるが、いよいよ個人ユーザー向けのモデルで、日本市場に参入するのだ。

BYDが日本の乗用車市場への本格参入を決断した背景には、日本政府が2035年までに国内で販売される新車を100%電動車とするという方針を打ち出している一方で、BEVの販売シェアは約1%(2021年)にとどまっているという現状がある。またビーワイディージャパンによる調査で、「車両価格の高さ」や「充電設備の不足」、「航続距離への不安」、「選択肢の少なさ」などが、購入を妨げる要因となっていることがわかったという。

そこでBYDは、高い安全性と十分な航続距離を備えた、さまざまなタイプのBEVを、手ごろな価格で日本市場へ導入することを決定した。

ドライバーWeb編集部

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