2022/04/09 コラム

直近1カ月で中古車価格が約180万円値上がり! 日産のR35型GT-Rに何があった?

GT-Rの中古車価格が大変なことに

中古車の値上がりと聞くと、R32~R34型スカイラインGT-Rをはじめ、1980~90年代の国産スポーツカーがアメリカの安全規制が緩くなる25年ルールによって海外流出へ大量流出、そして暴騰したのは有名だ。また現在では、国産スポーツカーに留まらず軽トラックなどもアメリカに輸出されるようになっている。さらに、コロナ禍における全世界的な半導体不足により新車の納期遅延なども、中古車価格高騰に影響を及ぼしている。

そんななか、2022年3月から4月というわずか1カ月で、流通している中古車の平均価格が約180万円の爆上がりを示した車種がある。それが日産のR35型GT-Rだ。1カ月で約180万円も上昇し、現在は平均価格が約1300万円という高値。それだけでも驚きだが、じつは2022年1月の平均価格は約900万円だったので、3カ月の間になんと約400万円も上昇してしまったのだ。

その理由はさまざま。まずは、新車の“オーダーストップ”が大きく影響している。2022年4月9日現在、日産GT-Rのホームページでは「GT-R2022年モデルは、世界的な半導体不足と新型コロナウイルス感染拡大による諸外国でのロックダウン等により、一部の部品供給が大幅に制限されている中、非常に多くのご注文をいただいている関係で、新規の商談並びに、ご注文の受付を停止させていただいております。」とアナウンスされている。

さらに、各グレードを紹介するコメント部分にも、「限定発売されたT-specでは抽選販売は終了いたしました。」とある。その他のモデルについても、「注文の受付を停止させていただいております。」。そしてGT-R NISMOは「予約注文台数が、予定販売数量に達したため、オーダーを終了しております。」とある。つまり事実上、R35型GT-Rの新車はオーダーストップとなっているのだ。

また、R35型GT-Rは欧州での新しい騒音規制やオーストラリアでの安全基準をクリアできず生産終了となっているので、日本市場でもこのままフェードアウトの可能性は高い。その理由…2021年9月に発表された100台限定のT-specはR34型スカイラインGT-Rのファイナルモデルである“ニュル”をオマージュしたモデルと言われているからだ。すでに、このGT-R T-specはオートオークションにて2000万円以上で取引されており、今後はさらなる高値になるのは間違いない。

2022年に入って、中古車の平均価格が約400万円も値上がりしたR35型GT-Rだが、現在中古車の流通台数は約146台で、平均価格は約1306万円。価格帯は約568万~約3278万円となっている。

2000万円を超える中古車のほとんどがGT-R NISMO。そして1300万円以上の中古車は内外装だけでなく、走行性能も向上した2016年7月のビッグマイナーチェンジ以降の2017年モデルとなっている。

R35型GT-Rの中古車年式別分布を見てみると、デビューイヤーの2007年~2008年が約12台と多いものの、その後は一桁が続く。最新モデルである2022年モデルとほぼ同じ仕様となる2016年式以降が二桁の流通台数となっている。

このことから考えると、R35型GT-Rの中古車は2016年モデル以降が主力ということが言える。新車時価格と比べてすでに200万円以上高くなっているが、今後流通すると考えられる2021~2022年式はさらに高くなるはずで、GT-R NISMOは3000万円オーバー、T-specも2500万円オーバーとなるのは確実だ。

元々、販売台数が多くないR35型GT-R。電動化が進むなか、貴重な純内燃機関ハイパワースポーツカーとして中古車は高値安定が続くのは間違いないだろう。

〈文=萩原文博〉

ドライバーWeb編集部

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