2022/04/05 コラム

こんなに神格化されるなんて! 憧れの旧車神 C130 “ブタケツ” ローレル誕生50年

●「サンダーストリーム」と名付けられたキャラクターラインとボリュームあるリヤまわりが特徴(ハードトップ2000 GL-6)

今からちょうど半世紀前の1972年4月、日産のハイオーナーカー「ローレル」が2代目(C130型系)にフルモデルチェンジした。先代と同様に、4ドアセダンと2ドアハードトップをラインアップ。後者は、ボディと一体化させたバンパーにコンビランプを収めたリヤビューと大胆なウエッジシェイプのプロポーションから「ブタケツ」の愛称で旧車ファンに親しまれている。

そんなC130。発売から50年が経つことと、当時は「八の字・竹ヤリ・出っ歯」のいわゆる “族車” ベースとして人気を博しただけに、とりわけ2ドアハードトップの現存数は少なく、現在の中古価格は500万円を下らない(1000万円超も珍しくないほど)。現在の旧車バブルを象徴するモデルである。登場時の雰囲気を、当時のドライバー本誌から感じていただきたい。

豪華さと大きさがふた回りアップした

3月の初めあたりから「ちかぢかNEWローレルが発売されるゾ」というウワサが流れていたが、予想どおり4月4日、そのベールを脱いだ。スタイルを一新したのはもちろんのこと、従来のG型4気筒1,800、2,000ccエンジンに加えてL型6気筒2,000ccエンジン搭載車もシリーズに加わった。新シリーズは42車種のワイドバリエーションだ。
[driver 1972年5月20日号]

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●左上:ハードトップ2000GX(89.5万円)、手前:ハードトップ2000 GL-6(95.5万円)、右上:セダン1800DX(74.0万円)*価格は東京地区標準現金価格

本誌72年5月20日号ではローレルのほか、レオーネ1100・1400ST、フェローMAXとともに「ニューモデル&試乗速報!!」として紹介。「ニューローレルのスタイルは、フロントはブルーバードU、サイドはライバルのマークIIとよく似ている。しかし、ややアメリカナイズされたテール部分とサイドウインドラインでローレル独自のアジを出しているところがニクイ」。全長4500㎜、全幅1670㎜(SGLは1680㎜)のボディサイズは上級のセドリック/グロリアに迫るものだった。

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●ハードトップ2000GX

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●スカイラインの4代目「ケンメリ(C110型系)」も同年9月に登場。デザインに共通項が見て取れる(ハードトップ2000GT-Rの発売は翌73年)

ローレルとしてはこの2代目で、L型(直6)エンジン搭載車を初設定。シングルキャブ仕様の最高出力は115ps/5,600rpm、最大トルク16.5㎏m/3,600rpm、ツインキャブ仕様は最高出力125ps/6,000rpm〈130ps/6,000rpm〉、最大トルク17.0㎏m/4,400rpm〈17.5㎏m/4,400rpm〉を発揮した。〈 〉内はハイオク仕様
旧プリンス時代を象徴するクロスフロー式のG型(直4)エンジンも、1800ccと2000ccに設定。後者のSUツインキャブ・ハイオク仕様は最高出力125ps/5,800rpm、最大トルク17.5㎏m/3,600rpmを発揮した。

インテリアは前傾タイプのダッシュボードが特徴で、スポーティタイプは3連丸型メーターを採用。「乗った第一印象はとにかく大きいということだ。チーク模様のダッシュパネル、厚みを増したビニールレザーのシート、皮巻き風ステアリング、木製シフトノブがなんともいえない感じだ。フェアレディZから始まった日産の “親切設計への体質改善” は、このローレルで完成を迎え、秋に発売が予想されるニュースカイラインで頂点を迎えることだろう」。

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●L20型直6エンジン(左)とG20型直4エンジン(右)。のちにG型エンジンは50年排出ガス規制をクリアできずに姿を消した

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●GL以上の上級グレードはヘッドレスト埋め込み式のシートを採用。インパネは安全パッド(ソフトパッド)で覆われた親切設計。ATセレクターとセンターコンソールの巨大な時計が時代だ

登場から1年半後の73年10月にマイナーチェンジを実施。同時に、L26型直6を積む最上級グレードの2600SGLを追加(ハードトップ120.0万円/セダン116.0万円、いずれも4速MT)。エンジンはセドリック/グロリアにも搭載されるシングルキャブ仕様で、最高出力140ps/5,200rpm/最大トルク22.0㎏m/4,400rpmを発揮した。

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●ハードトップ2600SGL。マイナーチェンジでトレッドが30㎜拡大された(4.5J×14→5J×14)

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●ハードトップ2600SGL。パワーステアリング、自動温調エアコンはオプション設定

サスペンションはフロントにストラット、リヤはハードトップにセミトレーリングアームの独立懸架を採用(セダンはリーフリジッド)。形式こそ旧型と同じだが、フロントサスは従来のコンプレッションロッド式からテンションロッド式に変更。セミトレのリヤサスも、重量増に伴いスカイライン2000GT用をベースに改良を加えていた。

この2代目以後、最終型の8代目C35型系(〜2003年)までスカイラインの兄弟車として日産の中核に位置したハイオーナーカー。「ゆっくり走ろう・ゆっくり生きよう」をキャッチコピーに、兄弟とは対照的な、どちらかといえば不人気車として扱われることが多かったローレル。C130ハードトップの登場時、半世紀後にここまで神格化されるなんて、誰が予想できただろう。

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●ちなみにハードトップの「ブタケツ」に対し、セダンはその顔つきから「ガメラ」の愛称で知られる(セダン2600SGL)

〈まとめ=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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