2022/03/31 コラム

四駆の王者「ランクル」と同じ時代を駆け抜け、そして消えたフレームシャシーのライバルたち

●写真は初代サファリ



■いすゞ ビッグホーン

いすゞのビッグホーンは、ランクルやサファリがまだ武骨な悪路走行車のイメージを残した時代、一般のアウトドアユースにもマッチするRVを具現化した先駆けだ。初代は1981年に誕生。当初の車名はロデオ ビッグホーンで、ピックアップ4WDのファスター ロデオをベースに開発された。


●初代ビッグホーン(1981年)

ボディは2ドアバンのショート&ロングでスタートし、ロングの5ナンバー乗用ワゴン、ロングの4ドア化とバリエーションを拡充。丸形2灯の外観は初代レンジローバーにそっくりとも言われたが、1987年のマイナーチェンジで角形2灯に一新、独自の存在感を獲得した。エンジンも2.2L OHVディーゼルに始まり、同ターボ、2Lガソリンとバリエーションを拡大。

ビッグホーンの商品性をさらに際立たせたのは、1985年からいすゞ車に展開された独英の名門チューナーモデルだ。一つは「イルムシャー」。ショート/ロング、乗用/商用、2.6Lガソリン(乗用)/2.8Lディーゼルターボと、最終的にはなんと全車にフルライン化された。1990年には「スペシャルエディション(SE)バイ ロータス」が登場。両車ともそれぞれのチューナーが手がけたスポーティな足まわり、洗練された内外装が魅力だった。


●イルムシャー(1987年)


●スペシャルエディション(SE)バイ ロータス(1990年)

初代の後期で確立した商品コンセプトは、1991年デビューの2代目にも忠実に受け継がれた。サスはイルムシャーががっしりした剛性感、SE改め「ハンドリング バイ ロータス」は上質なしなやかさが持ち味だ。ボディは本格3ナンバーワイドに成長。


●2代目ビッグホーン ハンドリング バイ ロータス(1991年)

基本メカニズムは大幅な進化を遂げた。エンジンは新開発のガソリン3.2L V6 DOHCと、3.1Lディーゼルターボ。1995年にはパートタイム4WDにシフトオンザフライシステムを採用、走行中でも2WDと4WDの切り換えを可能にした。1998年にはディーゼルが新世代の3L DOHC直噴コモンレール式に換装された。

いすゞは1993年に小型乗用車の自社開発・製造を中止。経営資源を商用車やSUVに集中していた。しかし、2002年にはついに乗用車事業から完全撤退。ビッグホーンはいすゞユーザーやSUVファンに惜しまれながら絶版となった。

〈文=戸田治宏〉

ドライバーWeb編集部

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