2022/03/31 コラム

四駆の王者「ランクル」と同じ時代を駆け抜け、そして消えたフレームシャシーのライバルたち

●写真は初代サファリ



■三菱 パジェロ

初代パジェロは1982年に誕生。ジープをライセンス生産してきた三菱が、ピックアップ4WDのフォルテをベースに開発した新感覚のオフロード4WDだった。


●初代パジェロ(1982年)

クリーンで洗練されたスタイリングと頼もしい悪路走破性は、しだいにレジャー指向が高まっていた国内市場ですぐに人気を集める。4WDとディーゼルターボの組み合わせは日本初で、その2.3Lエンジンはサイレントシャフト付き。また、トランスファーにはサイレントチェーンを使うなど、三菱自慢の先進メカも魅力だった。2Lガソリンも搭載。

キャンバストップとメタルトップ(ともに商用4ナンバー)でスタートしたボディタイプは、翌年から乗用5ナンバーのメタルトップワゴン、ロング・ハイルーフのエステートワゴン/バン、ミッドルーフ、オーバーフェンダーのワイドシリーズと次々に拡大。エンジンも意欲的に強化され、1988年には3L V6ガソリンが投入された。商用バンから高級SUVまで揃える超ワイドバリエーションを築きあげ、初代パジェロは一代で日本を代表するオフロード4WDになったのだ。

1991年デビューの2代目は、フレームをキャリーオーバーしながら正常進化。ボディはロングにキックアップ、ショートにJトップがそれぞれ登場し、いっそうワイドかつ個性的な一大バリエーションを形成した。


●2代目パジェロ(1991年)

パワートレーンには世界初のスーパーセレクト4WDを搭載。フルタイムとパートタイムの特徴を併せ持ち、センターデフ式ながら2WD(FR)の選択も可能にした。マルチモードABSも世界初の注目メカだ。エンジンは3L V6ガソリン、2.5Lディーゼルターボの性能をそれぞれ向上させ踏襲。バブル景気の余韻とクロカン4WDブームの大波に乗り、国内月販台数の首位まで獲得する大ヒットを飛ばした。

マイナーチェンジでは3.5L V6 DOHCガソリンと2.8Lディーゼルターボに換装。SUV最強の座をランクルシリーズから奪い返した。ショート用には2.4Lガソリンも加え、水も洩らさぬ磐石のラインアップが完成した。1997年には3.5L V6にGDI(ガソリン直噴)を投入。エボリューションの登場や、ダカールラリーで篠塚建次郎が日本人初の総合優勝を果たしたのも、同じ1997年だ。2代目でパジェロは絶頂を極めた。


●パジェロエボリューション(1997年)

世界でも約170の国と地域で販売され、SUVのビッグネームへと成長したパジェロ。1999年に登場した3代目は、プラットフォームが大きく見直された。


●3代目パジェロ(1999年)

ビルトインフレーム構造のモノコックボディに一新されたのだ。ボディサイズを拡大しながら、大幅な軽量化と高剛性化を実現。パジェロエボ譲りの4輪独立サスペンションも話題を集めた。これは悪路走破性への懸念から一部で物議を醸したが、操縦安定性と乗り心地はいちだんと向上。ほかにも新開発の3.2L直噴ディーゼルターボエンジン、電動切り換え式や前33:後67の駆動力配分を採用したスーパーセレクト4WD-Ⅱなど、進化のすべてはオフロードSUVの将来を先取りするものだったのだ。

しかし、国内のクロカンブームは終焉し、さらに三菱は度重なるリコール問題に端を発した販売不振で経営が悪化。暗いムードの中、4代目は忠実なキープコンセプトで2006年に登場したが、コストダウンの影響、アウトランダーなどモノコックボディを採用した新世代SUVの台頭もあり、かつてのSUVの主役は凋落の一途をたどった。


●4代目パジェロ(2006年)

2019年8月、ついに国内向けの生産を終了。海外向けも2021年7月に生産を終え、パジェロ製造はすべての生産活動に幕を降ろした。

ドライバーWeb編集部

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