2022/03/23 イベント

旧車のダッシュボード復刻は難しい? 自動車メーカーの純正補修部品・復刻生産事情 

ホンダのビートは、約1万7000台が現存しているという

自動車部品メーカーや商社、整備業者、経営コンサルタント、情報サービスなど、クルマのアフターマーケットビジネスに関わるさまざまな企業が出展し、自社製品のプロモーションを行う展示会が国際オートアフターマーケット EXPO 2022(IAAE)。

前編に続き、後編では自動車メーカーが取り組み始めた、純正補修部品の復刻生産をピックアップ。IAAE2022ではトヨタ自動車が「GRヘリテージパーツ」、本田技研工業がビートとアクティトラックの復刻純正部品を展示した。

■本田技研工業「アクティトラック/ビート再販売部品」

アクティトラックは約57万台(内、型式HA3、4、5は約12万8000台)、ビートは約1万7000台。いずれも2021年12月現在の国内残存台数だ。



アクティトラックはMR(ミッドシップエンジン・リヤドライブ)の軽トラック。2021年4月に惜しまれつつ生産を終えた後も、全高の低さやトラクション性能の高さなど、MR方式のメリットが発揮される山間部の農家などで愛用されている。「これまで再販売部品の情報はホンダカーズ向けに発信していましたが、アクティトラックなどの商用車は、お客様と付き合いのある整備業者や、いつも利用しているガソリンスタンドに整備を依頼することが多く、今回業界向けのイベントであるIAAEに出展しました」と語る、本田技研工業 日本本部 部品事業部 部品販売企画課 グループリーダー 主任の神田陽平さん。



ビートもアクティトラックと同じMRで、E07系列のエンジンを搭載するオープン2シーター。かつてホンダアクセスがビート発売20周年を記念して、スカイサウンドコンポやスカイサウンドスピーカーといった純正アクセサリーを復刻販売したが、走る・曲がる・止るに関わる一部のホンダ純正部品の生産を2017年から再開。再販部品の一覧はホームページで確認できる。

https://www.honda.co.jp/BEATparts/

これまでビート用は90点を再販し、15点が完売。

ちなみに再販部品の出荷数ランキングベスト3は、

■ビート
1:クラッチレリーズフォーク スプリング
2:ライセンスライト レンズ
3:タイミングベルト テンショナーボルト

■アクティトラック
1:スロットルワイヤー
2:バルブロッカーアームスプリング
3:ラジエター クーリングファンモーター



再販部品の選考基準を神田さんに尋ねると「少しでも長く乗り続けてもらうために『走る、曲がる、止まる』に関わる機能部品が中心です。部品を供給していただくサプライヤーさんの協力が不可欠なので、当時の金型や生産体制の維持をお願いしています」とのこと。



ビートはオープンカーなので、紫外線にさらされ劣化しやすいダッシュボードなど大物樹脂部品のリクエストが多いそうだが、これらの金型を新規に起こして作り直すとなると膨大なコストが掛かり、ユーザーが気軽に手を出せる価格ではなくなってしまうという。まずはビートとアクティトラックの反響を見ながら、他車種への展開も検討するという。



販売終了後に製造廃止になる部品が多いなか、根強いファンが多いS2000はサプライヤーに供給延長を依頼して、部品の確保に努めている。1999年式のAP1を長く乗り続けるつもりでいる筆者としてはうれしい限りだ。

https://www.honda.co.jp/S2000parts/

ドライバーWeb編集部

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