2022/03/19 ニュース

三菱ふそうがEVトラック「eキャンター」の次世代モデル(試作車)を初公開。バリエーションが拡大

バリエーション拡大にも注目

三菱ふそうトラック・バスは2022年3月15日、電気小型トラック「eキャンター」の次世代モデルの試作車を初公開した。

公開された次世代モデルはキャビンまわりに擬装が施されているが、キャビンについては現行モデルを基本にしているため、現行型のビッグマイナーチェンジ版という位置づけである。モーターやインバーター、リチウムイオン電池などのメカニカルコンポーネントの一新を図っているのが特徴で、航続距離(現行モデルは13.5kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーを6個搭載して1充電で約100㎞の航続距離を実現)の延長や安全性能などをさらに高めているという。

また今回、試作車は3台(車両総重量6トン・標準幅/同6トン・ワイド幅/同8トン・ワイド幅)が公開されたが、従来のワイド幅モデル(7.5トンクラス)に加えて、標準幅モデルを新設定。ディーゼル車同様にラインアップを広げて、細かな車両用途に対応し、大規模量産モデルに進化する。リチウムイオン電池は多く搭載すると航続距離では有利だが、そのぶん荷物の積載量が減るため、電池搭載量にバリエーションを設けて用途に応じて選択できるようにするという。

2017年に発売された現行モデルは、日本をはじめ、欧州、米国、オーストラリア、ニュージーランドで合計350台以上を販売。グローバルでの累計走行距離は450万㎞以上に達している。次世代モデルでは投入する国や地域も拡大し、ボディ架装も現行のバン、平ボディ、冷凍車、集塵車に加えてさらにバリエーションを広げていく予定だという。

現在、次世代eキャンターの開発が鋭意進められており、その模様も併せて公開された。栃木県さくら市にある同社の喜連川研究所では、商用車の電動化加速の流れを受けて、開発設備に対する投資も拡大。2021年から22年にかけて、175kWの性能を持つ高出力急速充電器やリチウムイオンバッテリーを分解して解析を行うバッテリー分解室を設置。次世代eキャンターも装備する外部給電機能の試験設備を併設したEV試験棟を開設した。こうした新設の設備に加えて、高電圧コンポーネントの評価を行うテストベンチやEVトラックの機能をテストするEVシステムベンチなどを使って、次世代eキャンターの試験が進められている。

試作車を使った走行試験も行われており、寒冷地や温暖地といった国内外の厳しい環境下で走り込みを実施。発売までに100万㎞以上の走行テストを行うという。試験メニューの1つである石畳路における走行試験の様子を公開したが、通常の舗装路より車両への負担を大きくすることで、開発のスピードを上げる狙いがあるとのことである。

現行モデルでは使用する事業者から、静粛性が高く、振動も少ないことから、運転して疲れにくいといった評判を得ているというが、次世代モデルでもこうした美点を継承。今回、3台の試作車がテストコースを“静かに”走行する様子が印象的だった。次世代eキャンターは今後、数年内に登場する予定である。

【テスト風景ほか写真はこちらより】

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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