2022/03/14 コラム

新型は何を目指した?「敵は己だ!」 開発責任者が語ったシビックタイプR

●大きなリヤウイングはタイプR必須のアイテム

2022年1月14〜16日に開催された東京オートサロン2022では、2022年内に発売予定の新型シビックタイプR プロトタイプが初公開された。テスト車と同じ擬装が施された新型のプロトタイプ車は、スペックなどはすべて非公表。そんななかで開発責任者の柿沼秀樹氏に、新型の詳細について突っ込んでお話を伺った。

■新型の目指すところは?

「てっぺんです。FF車とかいうくくりよりも、ホンダの考える究極のスポーツとして。まあ、その前提としてはFFという、シビックが誕生からずっと大切にしてきたM・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想のもとのF車としてのスポーツを究極に極める、そこが目指すところです」

■NSX、S660の生産終了という動きのなかで、このクルマはホンダのフラッグシップスポーツですよね?

「はい、そうです。ホンダとスポーツというのは切っても切れないじゃないですか。その1つはモータースポーツ。では、それをお客様にお届けする四輪の商品として、ホンダが大切にするスポーツを象徴して作っているのが、シビックタイプRであると思っています」

■何馬力ぐらい目指しているのですか?

「馬力は手段なので、何馬力を目指すというよりも、先代(320ps/40.8kgm)よりも意のままに、クルマを操るための制御性というんですかね、いかに“人”中心で、人が思ったとおりに自信をもって操れる、そこを究極にしようと。新型のコンセプトは、“アルティメット・スポーツ”という言葉なんですけれども、とにかく“てっぺん”。スポーツ性能を究極に磨き上げて、というのを大切にして作っています」

■ホイールは何インチですか?

「見たとおりです(笑)。先代(245/30ZR20)とはタイヤ&ホイールのサイズは変えています。やっぱり先ほど言った究極に磨き上げるうえで、タイヤのパフォーマンス、タイヤには何を担わせて、進化させるかといったときに、『タイヤで欲しい特性、性能はこういうふうにしよう。そのために必要なサイズは何が一番ベストか』というのを検討して、この新しいサイズ(ミシュラン パイロットスポーツ4・265/30ZR19)を選んでいます。むやみに大きくすると重くなるし、今度、クルマにも入らなくなるじゃないですか。だから、このクルマのレイアウト/パッケージのなかで、タイヤで実現すべき性能を発揮するのに一番最適なサイズというのを検討して選びました。

ボディは、5ドアのシビックに対して、タイプR専用のオーバーフェンダーを付けています。タイヤをいかにクルマの四隅に置くかというのはクルマの運動性能をつかさどるうえですごく大事ですから。それを実現するために、ボディ側もタイプR専用で起こしているものは多いですね」

■今回のタイプRは、先代のタイプRをベースに開発を行ったのですか?

「先代の”FK8“が基準になるクルマですね。そこに対して、どういう性能領域まで進化させたいかという目標を定めて、それを実現するために必要な特性、『サスだったらこう、タイヤだったらこう、ボディだったらこう、エンジンだったらこう』みたいなものを提案、要求して作っていくんですけれどもね」

■その目標はどのようなものだったのですか?

「具体的な数字で表せる目標と、なかなか数字では表せないんだけど、乗って感じるようなよさ、みたいなデジタルとアナログの両面でやっています。数字で表せる目標は数字で。でも、乗って質感が高いねとか、意のままだねというのは、なかなか数字では細かいところまでは捉えきれない。そういうところは乗りながら磨き上げていくというんですかね。

数字で表せるようなターゲットを置いて、まずそこに飛ぶために必要な要求をしますと。では、それで今度、人の感覚でしか、達成証明できないような部分は、実際にニュルブルクリンクとか、そういう実路を走ることで、ソフトウェア領域を含めて磨き上げる。ちょうど今、映像で流れているのは鈴鹿サーキットでのテスト風景ですけれども、ああいうことを繰り返して作り上げてきたという感じですかね」

ドライバーWeb編集部

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