2022/01/04 コラム

間もなく発売!日産アリアの生産工場に潜入。栃木工場の「ニッサン インテリジェント ファクトリー」が最新鋭過ぎた!

●アリアは539万円からの設定



■パワートレーン一括搭載システム <①次世代のクルマへの対応><③人とロボットが共生>

パワートレーンの搭載工程では、これまでエンジンやアクスルなどの重量物を載せたリフターを作業者が位置を合わせて組み付けを行っていた。腰を曲げたり、肩を上げるといった高負荷の作業で、1日に数百台がラインを流れると作業者の体の負担が大きくなってしまう。また、ガソリン車、電気自動車を1つのラインで流そうとすると、ガソリンタンクの搭載工程では電気自動車は手待ちになってしまい、混流生産時のロスが課題になっていた。

こうした課題を解決するためにパワートレーンの一括搭載システムを導入した。設備の企画構想から立ち上げまでに5年。設備の開発と合わせて車両の構造も変える必要があり、今回のアリアでは、車両の要件をすべて織り込むことによって実現した。従来は斜め方向にボルトを締め付ける作業があったが、自動締め付けは角度により失敗する可能性もあるので、アリアでは足まわりの部品すべてを真下からストレートに締め付けることができる構造に変えたという。



この設備の特徴の1つが「モジュラリティコンセプト」である。ルノーと日産アライアンスの共通アーキテクチャー「CMF」の車両にすべて対応可能な仕組みで、全車共通のベースパレットを設けて、その上に交換できるフロント、センター、リヤの3つのパレットを子亀のように載せている。この“子亀”のパレットを組み合わせることによって、電気自動車、e-POWER車、ガソリン車の3種類を同一ラインで生産することを可能にしている。1つのベースパレットにすべての部品を載せて組み付けるので、パワートレーン搭載の工程が集約されて混流生産ロスを削減。このように3種類のパワートレーンを持つ車両を同一の工程でロスなく生産できる設備仕様になっている。



2つ目の特徴が高い精度でのユニットの搭載である。ボディは上からハンガーで吊されているが、多少斜めになっていることもある。カメラシステムで吊されたボディの位置を測定して、その位置精度をロボットにフィードバックし、下からドッキングさせるパワートレーンの角度を合わせている。リアルタイム計測によって設備位置はプラスマイナス0.05㎜の高精度で補正しているという。

3つ目の特徴がフル自動化。アリアではモーター、バッテリー、リヤアクスルが3枚の“子亀”パレットに載っていて、同時に搭載している。これによって作業者による重量部品の組み付け作業をすべて排除していて、作業者の負担はゼロに。なお、アリアはこうした足まわりの部品を54本のボルトで締め付けているが、ボルトの供給も含めて、すべて自動で行われている。

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING