2021/12/28 モータースポーツ

【山本カメラマンが見たWRC】秋のフィンランドで見た、ラッピの人気ぶりとエヴァンスの成熟度

●SS1のスタート前にゲストによるデモラン。なつかしのランサーはマキネンがドライブ!


■最終SS前に垣間見たエヴァンスの落ち着き



今回のラリーでギャラリーからの注目を浴びていたドライバーは、地元のカッレ・ロヴァンペラとやはり地元のエサペッカ・ラッピ。ラッピはプライベーターとしてヤリスWRCで参戦です。以前、トヨタから参戦していたラッピにとって、ヤリスで初勝利した相性のいいフィンランド。ファンからの期待も大きいみたいで、声援もいちばん大きかったです。実際、ラリーが始まるとワークス勢を脅かすタイムを連発。こりゃ下克上もあり得るかも、なんて期待も高まります。来季のシートが決まっていないラッピにしてみれば、自分を売り込む絶好のチャンス。なんとしても好成績を残したいところです。

WRC
●来シーズンはトヨタから参戦するラッピ。久々に速いラッピが見られました


さて、初の秋開催のフィンランド。僕も初めて知ったんですが、雨が多い季節なんだそうです。僕が滞在中もずっと曇りで湿度も高め。夏のカラッとした気候とまったく違っていました。路面も夏とは微妙に違っていて、パッと見は砂利も少なくてスムースなんですが、クルマから降りて地面を触ってみるとどこか湿り気を帯びてるんです。ラリー車が走り去ったあともいつもよりも砂煙が少なめ、っていうかほとんど立ちません。紅葉はキレイだけど、湿気に極端に弱い僕にとってはカラッとした夏のほうがいいかなあ。暑いのは苦手だけど。

地元期待のカッレは早々にクラッシュ。セバスチャン・オジエもなんだか調子が上がらずで、ラリーをリードしたのはトヨタのエヴァンスでした。続いてヒョンデのオィット・タナックとクレイグ・ブリーン。エヴァンスの走りはスムースすぎて、そばで見ていると速く感じないし写真映えもしないんだけど、これって調子が良くてめちゃくちゃ速いってこと。印象的だったのは最終ステージ直前のリグループインのタイムコントロール前。エヴァンスは落ち着いた表情で自ら念入りにヤリスの窓を磨いていたんです。一方、エヴァンスを追う立場のタナックは何やら落ち着かない表情。なんとなくここで勝負あったかなと予感。僕の予感は的中してエヴァンスは最終パワーステージも制して優勝しました。期待のラッピは4位。フィンランドの翌週、来季のトヨタへの復帰が発表されました!

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●スムースで無駄のない走りのエバンス。はたから見ると速く見えないんだよなあ


ご存知の通り、来シーズンは今年チャンピオンのオジエがフル参戦から一歩引いて、スポット参戦となります。となると、最終戦までオジエと争ったエヴァンスに、初チャンピオンの期待が高まります。そして、マシンレギュレーションが大きく変わることはどのくらい影響してくるんでしょうか。パイプフレームボディにハイブリッドシステム搭載と、現行WRカーとはまったく別モノになるGRヤリス ラリー1。エヴァンスがうまく乗りこなせれば、チャンピオンも夢ではないかも? ラッピとカッレのフィンランド人コンビも強力だし、期待のタカもいます。トヨタのWRC参戦は来季も楽しみですね!


<文と写真=山本佳吾 Keigo Yamamoto>


ドライバーWeb編集部・青山

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