2021/08/24 コラム

加害者はウソをつき放題!? 交通事故における「死人に口なし」を裏付ける恐ろしいデータを発見

●検察統計年報を眺めてみると

■検察統計年報を読み解く



「死人に口なし」と言われる。それを裏付ける恐ろしいデータを「検察統計年報」に発見した。まずは「検察統計年報」とはどんなものか、ざっとながめておこう。犯罪報道を見るときの参考にもなると思いますよ。


●2019年の「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員 -自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く-」の一部

交通事故と違反を除く、全犯罪についてのデータだ。「刑法犯」とは刑法で定められた犯罪。「特別法犯」とは、刑法とは別の刑罰法規に定められた犯罪だ。特別法は「覚醒剤取締法」や「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」などいろいろある。刑法犯と特別法犯をあわせて一般犯罪と呼ぼう。その「総数」の「既済」としてこんな数字が並んでいる。

・公判請求    6万9429人
・略式命令請求  4万1139人
・不起訴    15万3759人
 (起訴猶予  10万8308人)
 (嫌疑不十分  3万0407人)
 (嫌疑なし     1462人)

「公判請求」とは正式な裁判への起訴。「略式命令請求」とは、略式の裁判手続きへの起訴だ。略式は、処罰されることに不服のない人にちゃちゃっと罰金刑を科すための迅速・簡便な裁判手続きで、法廷を開かない。罰金刑の事件は通常、略式で処理する。

不起訴とは、起訴するかどうかの権限を持った検察官が「起訴しない」と判断すること。起訴がなければ有罪も無罪もない。無罪じゃないけど「無罪放免」といえる。ご覧のとおり、不起訴がかなり多い。丸カッコ内はその不起訴の理由だ。ほかに「被疑者死亡」「心神喪失」「時効完成」などがある。

不起訴の理由として「起訴猶予」が最も多い。起訴猶予とは、まぁ要するに「お目こぼし」だ。「警察に捕まり(ときに逮捕され、勾留され)検察の取り調べを受けるという怖い体験をして、十分びびったろう。しっかり反省するなら許してやる」みたいな感じか。

ドライバーWeb編集部

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