2020/06/22 カー用品

期待以上の雪上性能? トーヨータイヤのオールシーズンタイヤ「セルシアス」

■オールシーズンタイヤが気になる

タイヤの購入を検討してアレコレ調べている方なら、最近「オールシーズンタイヤ」という字面をよく目にしているに違いない。その意味するところはドライやウエットでの性能はサマータイヤと同等を確保しながら、そのまま冬の積雪路面でも走ることができる、まさに季節を問わず使えるタイヤということだ。

そのウインター性能は、真冬の雪国のような凍結路面や雪深い山岳路などには適さないが、シャーベット状になった路面、あるいは圧雪路ならば十分に走行可能というもの。つまり降雪は年に数回程度で、ほとんど積もることがない地域でなら、1セットのタイヤで1年中過ごすことが可能になる。


●トーヨータイヤの北海道テストコースにて試乗を行った

筆者が暮らす関東地方も、積雪は年に数度に過ぎないとはいえ、サマータイヤでは一旦雪が降ればクルマを出動させられないから、冬にはスタッドレスタイヤへの交換が必須だった。交換するということは、使わない間は保管も必要となる。
そうした煩わしさから解放されるということで、今まさに多くのユーザーが熱い視線を浴びせているのが、このオールシーズンタイヤなのだ。



トーヨータイヤの「CELSIUS(セルシアス)」は、まさにこの注目のカテゴリーに投入された新商品。一番の特徴は、スノー性能重視とドライ・ウエット性能重視でトレッドのイン側・アウト側を明確に分けた非対称パターンを採用していることである。


イン側はスノー性能重視。高いグリップ性能が得られる3Dグリップサイプ、そして降雪時に高いトラクション性能を確保するジグザグブロックを採用する。一方のアウト側は、イン側とは異なる形状の3Dグリップサイプ、接地性を高めて操縦安定性に貢献する溝底補強ブロック、やはり操縦安定性に効く周方向連続ブロックなどによって十分なドライ・ウエット性能を確保しているという具合だ。

皆さん関心があるのは、こうしたオールシーズンタイヤが果たして本当に雪道で“ツカエる”のかということだろう。そんなわけで、じつはこのセルシアスをこの2月に雪のテストコースで試してきた。履かせたのはトヨタRAV4である。

■雪上性能は期待以上

圧雪路…といっても所々がシャーベット状になっていたり、磨かれていたりしたテストコースで、セルシアス+RAV4は、期待以上によく走った。まず発進時、そして加速時には十分なトラクションが発揮され、すんなり走り出すことができるのに安心。直進性も悪くない。

コーナーでは旋回性能そのものだけでなく、ステア操作に対する応答に遅れがないのがよかった。ここでタイムラグがあると「曲がってくれないのかな」という不安が頭をよぎるし、つい切り過ぎて、慌ててステアリングを戻すようなことになりがちなのだが、そうしたところがないのが嬉しい。


ブレーキの安定性も上々。ギュッと雪を噛む感じが足裏に伝わってくる。総じて、単に走れるというだけでなく、安心して走ることができるタイヤだという好印象を持った。

もちろん、過信は禁物である。冒頭にもオールシーズンタイヤの特性について書いたが、凍結路面の走りはサマータイヤより多少はマシという程度。基本的に適していないと言っていい。少しでも凍結路面を走る前提なら選ぶべきはスタッドレスタイヤである。

それでも、スタッドレスタイヤならそのまま走行可能、サマータイヤならばチェーン装着が必要になる高速道路の冬用タイヤ規制の下でも、セルシアスならそのまま通行可能できる。これは非常に有用だ。無論、チェーン規制の際にはチェーン装着が求められることになる。

このセルシアス、関東在住の筆者の生活範囲で考えるならウインター性能は十分以上と感じた。同じような環境の方なら、選択肢に入れていいタイヤと言えるだろう。用意されるのは15〜17インチで、そのサイズ設定からしてSUVがメインターゲットとなりそうだ。

〈タイヤサイズ〉
・215/60R17 96V
・225/60R17 99V
・225/65R17 102H
・215/60R16 99V XL
・215/65R16 98H
・165/60R15 77H

■問い合わせ先
トーヨータイヤ
0800-3001456
https://www.toyotires.jp

〈文=島下泰久〉

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