2020/06/19 Q&A

嗚呼ややこしい!ハリアーはヴェンザ、ヴィッツはヤリス、フィットはジャズ…車名が世界統一ではない理由

なぜそんなにややこしいのか?


100年に1度の大変革が叫ばれるクルマ業界。車名の世界でも、密かに?変革が起きつつある。

今年2月に新型が発売されたヤリス。もともと日本ではヴィッツだった。「へー!海外ではヤリスって名前だったのか!」なんて声も聞く。ちなみに当編集部員の奥様(クルマにはそれほど興味がない)は、「あ、あの新しいヤスリみたいな名前のクルマ…」と言っていたらしい。うん、仕方がない。


●フルモデルチェンジを機に日本での車名もヴィッツからヤリスへ

海外と日本で車名の違うクルマが多いのはご存知のとおり。フィットだって、海外では「ジャズ」と名乗る。一方でマツダは、最近までデミオ、アクセラ、アテンザ…と呼んでいたクルマたちを、海外同様にマツダ2、マツダ3、マツダ6と立て続けに全世界車名統一を図った。

そういえば、新型ハリアーも世界展開を発表しているが、北米では「ヴェンザ」と名乗ることが決まっている。


●新型ヴェンザ

国ごとに違う国産車名の代表例


海外と日本とで名前が違う国産車種の代表例を挙げてみると、
※日本名→海外名の順で記載

●トヨタ
・アクア→プリウスC(北米・台湾・韓国など)
・プリウスα→プリウスV(北米・台湾・韓国など)、プリウス+(欧州)、グランドプリウス(ベルギー)
・プリウスPHV→プリウス プライム(北米・韓国)、プリウス プラグインハイブリッド(フランスを除いた欧州)


●RAV4のプラグインハイブリッド車は、日本では「RAV4 PHV」、米国では「RAV4 プライム」

●日産
・ティアナ→アルティマ(北米)
・マーチ→マイクラ(欧州)
・エクストレイル→ローグ(北米)


●新型ローグ。日本ではエクストレイルを名乗る

●ホンダ
・フィット→ジャズ(中国・北米・南米以外)
・レジェンド→アキュラRLX(北米)
・グレイス→シティ(アジア・オセアニア・北米・欧州など)
・ヴェゼル→HR-V(韓国・欧州・北米・オセアニアなど)


●日本のヴェゼルは、海外ではHR-V

●スバル
・レガシィ→リバティ(オーストラリア)

●三菱
・ミラージュ→スペーススター(欧州)
・RVR→ASX(欧州)

●マツダ
・ロードスター→MX-5(欧州)
・MX-5ミアータ(北欧)

●スズキ
・エスクード→ビターラ(欧州・アジアなど)

もちろん過去にもあった…



過去には、こんな名前もあった。ほんの一例である。

●トヨタ
・セリカXX→スープラ
・エスティマ→プレヴィア(欧州)
・タラゴ(オセアニア)

●日産
・ティーダ→バーサ(米国・カナダ)、ラティオ(シンガポール・インドネシア・マレーシア)

●三菱
・パジェロ→モンテロ(スペイン・北米)、ショーグン(欧州)

●スズキ
・エリオ→リアーナ(欧州)

フィットはなぜ海外ではジャズなの?



フィットとジャズ。これはなかなか説明しづらいのだが…。まずフィットの系譜をたどると、ロゴ、シティと遡る。そのご先祖様であるシティに「フィット」という特別仕様車が存在した。そんな歴史から、でも「フィット」と名前が被るのもまずいということで、「フィッタ」という造語を作り、ロゴの後継車の車名にしようとホンダは考えた。


●特別仕様車「シティCE FIT」


●ロゴ5ドア


●初代フィット

「フィッタ」は社内でかなり検討が進んだ。しかし発売直前に、スウェーデン語で大変な意味だとわかったのだ。

いやらしくて説明できない…



いやらしすぎてこれ以上は説明できない。ぜひご自身で調べてみてほしいのだが、とにかく社内では大騒ぎ。事前にわかって本当によかった、というお話で、結局時代に「フィット」するという意味で、シティフィットと被ってもいいから「フィット」と命名することになったのだった。

では、ヤリスはなぜ今までヴィッツだった?



ヴィッツは、英語の「Vivid(鮮やかな)」とドイツ語の「Witz(機知)」をかけ合わせた造語。でも「ヴィッツ」が英語では俗な表現に聞こえる可能性があったので、ヴィッツは日本だけになった。


●写真は2代目ヴィッツの海外版ヤリス

逆に「ヤリス」は日本での響きが悪いということで、長年グローバルネームと日本名が違った。しかし、今回すべてを一新。日本でのWRC開催(開催は非常に厳しい状況になってしまったが)など、環境変化のなかでヤリスとしてゼロからスタート。そんな意味も込めて、グローバルネームのヤリスに統一した。



ドライバーWeb編集部

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