2020/04/30 ニュース

【ネーミングの謎】三菱 eKクロス スペースは、なぜeKスペース クロスではないのか?


●eK X(クロス) スペースは、スペースよりも先にクロスがくるネーミング。これには深いわけがあった!?

2019年の東京モーターショー、そして20年1月に開催された東京オートサロンにおいて公開されていた三菱の軽スーパーハイトワゴン、三菱eKクロス スペースとeKスペースが3月19日より販売が開始された。19年に発売されたハイトワゴンのeKクロスと同様、三菱のブランドイメージ、SUVらしさを盛り込んだ軽自動車だ。じつはそれがネーミングにも表れていることにお気づきだろうか。

“スペース”の位置は三菱の気合のあらわれ⁉︎


●eKクロス スペース

三菱のスーパーハイトワゴンはこれまで、eKスペース/eKスペース カスタムと呼ばれていた。しかし今回、eKスペース/eKクロス スペースと新たにネーミングが変わった。ここで注目したいのは“スペース”の位置だ。

・eK“スペース”カスタム
・eKクロス“スペース”

前後が逆になっているが、これはどういうことだろう?

eKクロスやeKクロス スペースのデザインを担当した三菱自動車工業 デザイン本部 プロダクトデザイン部 デザイン・プログラム・マネージャーの大石聖二さんによると、「eKクロスで実現したことはeKクロス スペースにも反映させようということで、SUVテイストのスーパーハイトワゴンを作りました。それはダイナミックシールドコンセプトのフロントマスクも然り、その他パーツや、外観から醸し出す雰囲気など、すべてeKクロスの世界観を表現しています。そこで、eKクロスの“スペースバージョン”の意味をこめて、先にeKクロスといってからスペースと呼んでいるのです」と新ネーミングに込めた意味を語る。


●チーフデザイナーの大石聖司さん。話がおもしろくて思わず引き込まれてしまう

カスタムはどこにいった?

もう1つ気になるのは、なぜこれまでのカスタムからクロスになったのか。軽自動車のスーパーハイトワゴンの市場では、各社からカスタムやハイウェイスターと呼ばれるグレードと、スタンダードと呼ばれるグレードの大きく2つに分かれ、それぞれ2種類ずつラインナップされている。しかし三菱はカスタムから決別したのだ。


●eKクロス スペース

その理由はカスタムの売れ行きだった。これはハイトワゴンのeKも同様の傾向で、「カスタムは、出だしの3ヶ月くらいはとても売れ行きがいいのですが、最終的にはジリ貧になってしまい、最後はスペースばかりが売れてしまうという特徴でした」と大石さん。そこで大きく舵を切り、三菱の得意とするSUVテイストを盛り込んだクロスにしたのだ。


●eKクロス スペース

ただし、これまでカスタムが好ましいと購入していたユーザーもいる。「eKクロス スペースは、eKスペースカスタムから決別して完全にSUV方向に振り切っています。ただ、エアロ系や昔ながらのカスタム系が欲しいお客様もいらっしゃいます。その受け皿として、eKスペースのターボグレードだけは少しスポーティに見えるようグリルを黒くし、少し洗練されかつ力強いイメージを演出しているのです」とコメントする。また用品(ディーラーオプション)でフォグランプベゼルなどを交換出来るような設定もされている。


●カスタム顔がお好みの方には、こちら。eKスペースのターボグレードには、カスタム風のブラックグリルが装着される

eKクロスもeKクロス スペースも三菱でしか買えない、三菱ならではのクルマとしてデビューした。特にeKクロス スペースは、より自然にダイナミックシールドコンセプトが取り入れられていることもあり、好ましい軽スーパーハイトワゴンの1台に仕上がったといえよう。

文&写真=内田俊一 Syunichi Uchida





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